きのうの朝
店を開けてすぐに
1本の電話が入りました。
「お酒屋さんですか?」
はい、酒屋ですが…。
電話の主は
隣の県にある
某施設の職員さんでした。
「実はうちの職員がけさ9時前頃
車でそちらの前を通りがかった時に
猫をひっかけたらしいんです」
一瞬、心臓が凍りついたように感じました。
「お宅様の猫でしょうか。大変申し訳ないことをいたしました」
…いえ、うちは猫を飼っておりません…。
すぐ近くの○○というお店が猫を飼ってらっしゃるようなので
そちらの猫だと思います…。
「そうですか。では○○さんの方へ電話いたします。ありがとうございました」
電話を切った私は
「○○シスターズが死んだ…」
といたたまれない気持ちになりました。
私の店のすぐ近くに
「○○」というお店があります。
そのお店の裏手に
野良の子猫が2匹住みついていました。
最初は5匹いたのですが
ここ最近はいつも2匹だけ姿を見せていました。
2匹は見た目がそっくりでした。
キジ白のきょうだい。
「キジ白」というのは、白い部分が多いトラ猫のことです。
こういう毛色の猫を「キジ白」と言います。
ちなみにこの写真の猫は
大昔、私の実家で飼っていた猫です。
2匹はとても目が大きい美形でした。
オスかメスかもわかりませんが
私は勝手に女の子だと決めつけて
お店の名前をもじり
「○○シスターズ」と呼んでいました。
1匹はとても警戒心が強くて
人が近づくと逃げていましたが
もう1匹はとても人懐こく
「チッチッチッ」と呼べば
足もとに走り寄ってきて
体をすりつけ、のどをゴロゴロ鳴らす
本当にかわいい子猫でした。
夜、店を閉めてから
時々、子猫たちを見に行きました。
○○さんのお店の横に座っていることもあれば
別のお店の駐車場の隅で重なって暖をとっていることも。
姿を見つけると、しばらく遊んでもらう私でした。
だんだん寒くなってきて
特に夜は冷え込むようになりました。
毛布や段ボールでも与えてやりたいけれど
勝手によその敷地に置くわけにいかず
うちでは飼うことはできないし…。
さて
ここ数日は
なかなか猫たちに会いに行くこともできませんでした。
シスターズ、元気かなあ。
車にひかれなきゃいいけどなあ。
冒頭の電話がかかってくる前日
車で近くを走っていたら
シスターズがいつもの場所に
たたずんでいました。
かわいい子猫が2匹
ちょこんと置物のように並んでいる姿は
かわいらしくもあり、悲しくもありました。
そして翌日。
まだ店を開ける前
なぜかセンサーチャイムが鳴りました。
お客さんが店に入ってくると鳴るチャイムです。
まだ鍵は閉まっているから誰も入られないのに
なんで鳴ったんだろう?
光線がどうかなったのかな。
そして電話。
「9時前にそちらの前を…」。
まさにその時間でした。
チャイムが鳴ったのは。
不思議な偶然でした。
私は電話を切ってから
○○さんのところへ行って猫のことを聞きました。
猫
お店の前で車にひかれていたそうです。
私、お寺に連れて行きますから
どうか遺体をひきとらせてください。
そう頼むと、○○さんは
悪いね、とおっしゃいながら
猫が入った段ボール箱をくださいました。
家に帰って
段ボールをあけると
変わり果てた姿のシスター。
顔の判別がつきませんでした。
なんでやの。
なんでひかれちゃったの。
にゃんこ。
なんで。
なんで。
手を合わせました。
動物のお寺に連絡してから連れて行き
供養をお願いしました。
帰宅してしばらくすると
電話をくださった職員さんたちが
お詫びに来てくださいました。
いえ、私の飼い猫じゃないですからお詫びなんて…と言ったのですが
「○○さんのところへ行ったら、あなたが可愛がってたからあなたのところへ行ってください、と言われまして」
とおっしゃいました。
遠いところから丁寧にお詫びに来られた職員さん。
猫をひいても知らん顔して行ってしまう人がほとんどなのに
ましてや、野良猫だと聞いてらっしゃったのに
わざわざお越しくださった方。
すばらしい方です。
私はお詫びされるような立場ではないので
恐縮しながらも
「来てくださってありがとうございます」
心の中でつぶやきました。
シスターの生前の写真が1枚だけあります。
でも、カメラを向けると警戒して逃げるかもしれないので
離れたところから望遠
フラッシュも焚けなかったので全然顔がわかりませんが
生きていた証です。
さよなら にゃんこ。
店を開けてすぐに
1本の電話が入りました。
「お酒屋さんですか?」
はい、酒屋ですが…。
電話の主は
隣の県にある
某施設の職員さんでした。
「実はうちの職員がけさ9時前頃
車でそちらの前を通りがかった時に
猫をひっかけたらしいんです」
一瞬、心臓が凍りついたように感じました。
「お宅様の猫でしょうか。大変申し訳ないことをいたしました」
…いえ、うちは猫を飼っておりません…。
すぐ近くの○○というお店が猫を飼ってらっしゃるようなので
そちらの猫だと思います…。
「そうですか。では○○さんの方へ電話いたします。ありがとうございました」
電話を切った私は
「○○シスターズが死んだ…」
といたたまれない気持ちになりました。
私の店のすぐ近くに
「○○」というお店があります。
そのお店の裏手に
野良の子猫が2匹住みついていました。
最初は5匹いたのですが
ここ最近はいつも2匹だけ姿を見せていました。
2匹は見た目がそっくりでした。
キジ白のきょうだい。
「キジ白」というのは、白い部分が多いトラ猫のことです。
こういう毛色の猫を「キジ白」と言います。
ちなみにこの写真の猫は
大昔、私の実家で飼っていた猫です。
2匹はとても目が大きい美形でした。
オスかメスかもわかりませんが
私は勝手に女の子だと決めつけて
お店の名前をもじり
「○○シスターズ」と呼んでいました。
1匹はとても警戒心が強くて
人が近づくと逃げていましたが
もう1匹はとても人懐こく
「チッチッチッ」と呼べば
足もとに走り寄ってきて
体をすりつけ、のどをゴロゴロ鳴らす
本当にかわいい子猫でした。
夜、店を閉めてから
時々、子猫たちを見に行きました。
○○さんのお店の横に座っていることもあれば
別のお店の駐車場の隅で重なって暖をとっていることも。
姿を見つけると、しばらく遊んでもらう私でした。
だんだん寒くなってきて
特に夜は冷え込むようになりました。
毛布や段ボールでも与えてやりたいけれど
勝手によその敷地に置くわけにいかず
うちでは飼うことはできないし…。
さて
ここ数日は
なかなか猫たちに会いに行くこともできませんでした。
シスターズ、元気かなあ。
車にひかれなきゃいいけどなあ。
冒頭の電話がかかってくる前日
車で近くを走っていたら
シスターズがいつもの場所に
たたずんでいました。
かわいい子猫が2匹
ちょこんと置物のように並んでいる姿は
かわいらしくもあり、悲しくもありました。
そして翌日。
まだ店を開ける前
なぜかセンサーチャイムが鳴りました。
お客さんが店に入ってくると鳴るチャイムです。
まだ鍵は閉まっているから誰も入られないのに
なんで鳴ったんだろう?
光線がどうかなったのかな。
そして電話。
「9時前にそちらの前を…」。
まさにその時間でした。
チャイムが鳴ったのは。
不思議な偶然でした。
私は電話を切ってから
○○さんのところへ行って猫のことを聞きました。
猫
お店の前で車にひかれていたそうです。
私、お寺に連れて行きますから
どうか遺体をひきとらせてください。
そう頼むと、○○さんは
悪いね、とおっしゃいながら
猫が入った段ボール箱をくださいました。
家に帰って
段ボールをあけると
変わり果てた姿のシスター。
顔の判別がつきませんでした。
なんでやの。
なんでひかれちゃったの。
にゃんこ。
なんで。
なんで。
手を合わせました。
動物のお寺に連絡してから連れて行き
供養をお願いしました。
帰宅してしばらくすると
電話をくださった職員さんたちが
お詫びに来てくださいました。
いえ、私の飼い猫じゃないですからお詫びなんて…と言ったのですが
「○○さんのところへ行ったら、あなたが可愛がってたからあなたのところへ行ってください、と言われまして」
とおっしゃいました。
遠いところから丁寧にお詫びに来られた職員さん。
猫をひいても知らん顔して行ってしまう人がほとんどなのに
ましてや、野良猫だと聞いてらっしゃったのに
わざわざお越しくださった方。
すばらしい方です。
私はお詫びされるような立場ではないので
恐縮しながらも
「来てくださってありがとうございます」
心の中でつぶやきました。
シスターの生前の写真が1枚だけあります。
でも、カメラを向けると警戒して逃げるかもしれないので
離れたところから望遠
フラッシュも焚けなかったので全然顔がわかりませんが
生きていた証です。
さよなら にゃんこ。