ROCK & CINEMA DAYS

映画とROCKと猫が大好きです

CMの神様~杉山登志

2008-05-26 13:47:56 | テレビ・ラジオ
私は今でこそ酒屋なんですが、若い頃はCM制作の世界に行きたいと思ってました。
結局その夢は叶わなかったんですが、そんな私にとって神様のような存在・杉山登志について書いてみます。

杉山登志が有名な遺書を書いて自殺したのは私が中学へ入学した年ですから、彼のCMを観ていたのは小学生の頃になります。
それがすごく悔しいですね。
ほんの子供だったから、リアルに彼の作品に接していても、感動の度合いが違ったと思います。
せめて中学生の頃に接していたら、と残念です。

子供なりに彼の作品には強い印象を受けていました。
資生堂の一連のCMや、モービル石油の「のんびり行こう」。
フジカラーの「Have A Nice Day」もそうだったかな?
特に資生堂のシリーズは素晴らしかった。
洗練されていて、粋で。
当時のCMの中では、資生堂は別物のように感じたものです。
もうね、芸術作品なの。
子供だから化粧品なんてそれだけでも大人の香り漂うものなのに
あのCMは、いかに資生堂がかっこいい会社か、ってアピールするのに充分すぎてお釣りがくるくらいでした。
佐藤祐介が図書館で大人の女性にみとれるという、有名なCM。
あれなんか、ドラマだもんね。CMじゃないわ。

杉山登志が自殺した時、年上のいとこに
「資生堂のCM作ってる人、自殺したんやて。もう資生堂のCMはあんなかっこいいのじゃなくなるよね」
と教えられ、びっくりして残念がったものです。
その頃はまだ杉山登志について知識がなかったし(名前すら知らなかった)、ただもうあのかっこいいCMが観られないのか…とそれが残念でした。

大学生の頃は映画系のサークルに属していたので、映像関係の本を読むことが多く、そんな中で杉山登志の名前に出会いました。
あのCMの神様…!

   リッチでないのに リッチな世界などわかりません
   ハッピーでないのに ハッピーな世界などえがけません
   夢がないのに 夢をうることなどは……とても 
   嘘をついてもばれるものです

有名な遺書に衝撃を受け、サークルの友人たちと語り合ったこともあります。
「天才はいろいろ悩むことがあって気の毒だな」
「自殺するなんて、よほど嘘の世界を作らなければならないことに悩んでたんだろう」
あの頃は若かったんで、この文章にいろんな思いを馳せました。

でも最近「ちょっと違うんじゃないか」と考えるようになりました。

確かに、リッチでないのにリッチな世界などわからない。
じゃあ、リッチな人にしかリッチな世界は描けないのだろうか?

リッチな人は、リッチな世界が現実の生活になっている。
それは嘘の世界ではなくて、本当のこと。
でもリッチな人は、それが当たり前になっていて、一般の人たちに描いてみせることはできないんじゃないだろうか。

逆に、リッチでないからこそ、一般人の立場から見たリッチを描いてみせることができるんじゃないだろうか。

ハッピーにしても然り。
夢がない、にしても然り。

ハッピーな人は、ハッピーが当たり前で、うらやましくもなんともない。
だけどハッピーでない人は、なんてあの人は幸せなんだ、うらやましい、と思う。
だからハッピーな人のことがはっきり見える。

夢がないから、夢がどんなに素晴らしいか知ることができる。

なんて、ちょっと神様に反論してみた。

こんなことを思うようになったのも年の功かな。
杉山登志より年上になっちゃったし。

ただ、私は遺書だけを見て勝手なこと言ってるだけで、実際に彼がどんなことで死を選ぶほど悩んでいたのかはわからない。
それは本人にしかわからないことだしね。

でも私にとって神様だってことは、変わらぬ現実です。





日本のロック70年代&80年代

2008-05-24 21:27:12 | ロック
  黒船    有頂天  シングル・マン ザ・ブルーハーツ  服部

私は洋楽が大好きな人間で、日本のロックはほとんど知らないんです。
それでも70年代から最近まで、「すごい!」と思ったバンドやアルバムはいくつかありますんで、今回は日本のロックバンドについてかなり偏見混じりに書いてみます。

70年代と言えば
★サディスティック・ミカ・バンド「黒船」
★フラワー・トラヴェリン・バンド「MAKE UP」
★サンハウス「有頂天」
★RCサクセション「シングル・マン」

80年代だと
★ブルーハーツ「The Blue Hearts」
★ユニコーン「服部」

このうち、サンハウスとRCとブルーハーツについては、過去ログに書いたことありますんで、お時間のある方はそちらをお読みになってください。
では他のバンド&アルバムについて。

サディスティック・ミカ・バンド

ミカバンドはほんとにかっこいいバンドでしたね~。
フォーククルセダースで北山修とともに「日本のレノン&マッカートニー」と称された加藤和彦がさらに進化した、音楽的にも先進派バンドだったけど、ファッションも垢抜けてて、私たち音楽好きな小中学生の憧れでした。
「黒船」はイギリスでも評価高かったそうですね。
最近カエラがカバーした「黒船」の代表曲「タイムマシンにお願い」なんか
すんげえポップで楽しくて、当時オールナイトニッポンの「今月の歌」として1ヶ月間流れてました。
そういえば、やはりその頃、大阪の日本橋にある電器店「喜多商店」のラジオCMで、この「タイムマシンにお願い」のイントロが使われてたんですよ。
大阪の40代の人、覚えてませんか~?

加藤夫妻の離婚によってミカバンドは解散しちゃったわけで、もったいなかったなあ。
80年代になってから「宝島」誌にミカのインタビューが載ってたんですけど、彼女はイギリスでなんとシェフに転身したんですね。
しかもかなり腕のよいシェフなんですよ。びっくり。
加藤和彦と言えば、20年くらい前に「笑っていいとも」のテレフォンショッキングのコーナーに出てたのをみました。
しかしその日はタモリが用事で休みで、代わりに渡辺正行と女性タレントがコーナーの司会を務めてたんですが、なんと2人とも加藤和彦のことをよく知らない!(あちゃ-、せっかくの大物なのに)
質問もリアクションも的はずれなんで、加藤和彦がすごく機嫌悪くなって、そっぽ向いてしゃべらなくなったのを覚えてます。

フラワー・トラヴェリン・バンド

ミカバンドと同じく、海外進出を果たしたバンド。
私は最初フラワー・トラヴェリン・バンドを聴いた時、絶対外国のバンドだと思ってました。
だって歌詞が英語だもん。
しかも発音うまいんだもん。
音楽も日本のバンドらしからぬセンスのいいサウンドだったし。
日立のテレビ(キドスコープ)のCMに、彼らの曲「MAKE UP」が使用されました。
このCMのかっこよかったこと!
歌舞伎役者が紙吹雪舞い散る中で踊っていて、そのBGMが「MAKE UP」。
そのCMは、日立のスポンサー番組でしか流してなくて、しかも画質がすごくキレイだったの。さすがテレビのCMですね。
数年後、映画「人間の証明」のテーマソングを歌ってるのが、フラワー・トラヴェリン・バンドのボーカルだったというのにはびっくりしました。

ユニコーン

ユニコーンを聴いたのは割と遅くて、確か87年の大晦日にテレビでやってたロックのライブ番組が最初でした。
その頃、毎年大晦日には、日本のバンドを集めたライブをテレビ中継してたような気がします。
私はユニコーンの名前だけしか知らなかったんですが、「おかしな2人」を演ってるのを見て「おっ、これはいいやん」とテレビに釘付けになりました。
奥田民生のMCも面白いし、演奏もうまいし、曲もツボを押さえたつくりで
「ええやんええやん、なんちゅうバンド?ユニコーン?え、坂上二郎とアルバム作ったバンドじゃなかったっけ?」
ユニコーンについての知識はそのくらいだったので、即CDを買いに行きました。
買ったのは「服部」。
これはいい!私の中では日本のロック久々のクリーンヒットでした。
このあと何枚かユニコーンのCDを買いましたが、「服部」が一番いいです。
いろんなジャンルの曲が詰まっていて、ほんとに楽しいアルバムです。
全部の曲がいいですもん。
特に私は「おかしな2人」が好きですけど、全部いい曲なんですよ、マジ。

日本のロックに疎い私ですが、70年代に日本テレビ系列で日曜の昼12時にやってた
「キンキン・ムッシュのザ・チャレンジ」
って番組はみてましたよ。
愛川欽也とムッシュかまやつが司会の、アマチュアバンド勝ち抜き戦で、優勝するとメジャーデビューできるという番組でした。
ふきのとうがこの番組から出ましたね。
この番組に関西のバンドで「山水館」というド派手なバンドが出ましたが(優勝はしなかったと思います)、なぜか私は山水館のライブの生写真を持ってるんですよ。
スキャナが壊れてるのでUPできないのが非常に残念です。
この番組が始まった当時「アビーロード」というバンドが出て、惜しくも決勝でジャネットに敗れたんですが、私はいまだに気になっています、アビーロード。
すごくヘビーなロックというかブルースというか、を演ってたバンドで、演奏もうまいし、見た目も「ヘビーロック」っつー感じでね。
知ってる人がいたらその後について教えてください。

それにしても、今は日本でもロックが売れるようになってよかったね。
70年代なんてロックはビジネスになんなかったから、実力あるのに泣く泣く消えていったバンドのなんと多いことか。
サンハウスは惜しい惜しい惜しい惜しい…。


びっくりしたこと

2008-05-18 13:05:19 | 大学時代
何気なくネットサーフィンしていたら、聞いたことのある名前がヒットしました。
大学時代のサークルの先輩の名前です。





あの○○さんが…

某河合塾(←某の意味ないじゃん…)
お偉いさんなのぉ!!!


びっくりした。

河合塾の講師だという話は
ずいぶん前に伺ったことあるんですが
現役コースのチーフとはしりませんでした。
講演もなさってるらしい。

何の教科担当だったんだろう。
確か私と同じ学部だったような気がするので
そうすると社会だろうなあ。
違ってたらすみません。

何がびっくりしたって
河合塾と言えば
日本の三大予備校のひとつですよ。
特に私の住む地域では
河合塾は老舗中の老舗ですから。
(名古屋の千種が発祥ですもんね。私のとこからは電車1本で行けます)
そこでチーフなんて、すごくないですか?
あ-、でも、まったく違う地方に勤務されてるんで、関わることはないんですけどね。
うちの息子は代ゼミサテラインだったし(笑)。

私のいたサークルは映画系で
けっこうwebなんかでOBの名前を発見したりします。
20年近く前、某家電量販店のテレビCMに
同期だったNくんが出演していた時もびっくりしましたね~。
Nくんは国立大学受験に失敗してうちの大学に入った、いわゆる優秀な方だったのですが
内定していた就職先を蹴って東京の劇団に入団されました。
伝え聞いた話では、やはり劇団員というのは生活が苦しく、なんとかかんとか生きているとのことだったので、CMを見たときは「がんばってんじゃん」と嬉しかったですね。

考えたら、私たちの世代って、もう職場で重要なポストにいる年齢なんですよね。
自営やってると、どうもそういう感覚が欠如しちゃうんで、よけいに知人の出世ぶりに驚いてしまうのかもしれません。
もちろん、みなさん努力されたから、今の地位にいらっしゃるわけですが。

でも
毎月決まった収入があって
しかも昇給していくってのは
うらやましすぎる。

この歳になって後ろ向き発言してちゃいけませんね。

父と最後のおしゃべり

2008-05-12 16:02:33 | 家族
元旦に、大阪の病院に入院している父親を見舞いに行きました。
痛みどめのモルヒネの量が増えたせいで
父は始終夢の中にいます。
ある時は永年働いていた職場         
またある時は生まれ故郷の川べりと
自分のいる場所がころころ変わります。
胸ポケットには運転免許証。
「これがないと仕事ができん」と宝物のようにしています。
昨年末で期限がきれているのに。

父「みやげに海苔巻を買って行ったらどうや」
私「どこに売ってるの」
父「4号館の地下や」…約40年勤めた職場のビル街のことです。

私は苦笑しながら「ここは8号館やから、ちょっと遠いねえ」
と答え、そして思い出しました。
息子たちが幼かった頃
覚えたての言葉で空想と現実をごちゃ混ぜにした話を
一所懸命しゃべっていたことを。
その時と同じく、今の私は父の話に相槌をうちます。
大きな大きな子供です。

帰る頃になると、父はガランとした病室の中を見渡して言いました。
「誰か新大阪の方へ行く奴おらんか。娘が岐阜へ帰るんや」。

いいよ、みんな仕事中やから、と言うと父は
「そうか。気ィつけてな」
と顔を崩して笑いました。本当に赤ちゃんのような笑顔でした。

来月また行くからね。それまで目を開けといてや、おとうちゃん。

      ×  ×  ×  ×  ×  ×


30日後、父は永遠の眠りにつきました。
最期の瞬間には間に合いませんでした。
あれからもう5年の月日が流れましたが
父の日が近づくと思い出す情景です。

子供の頃に戻って、ふるさとの川であそんでるのかな?
昔の職場を見て、変わったなあって驚いてるかな?

お父様がご健在の方は
どうぞ優しい言葉をかけてあげてください。
私はもう憎まれ口を叩くことさえ
できません。

いつもいっしょに

2008-05-08 22:37:40 | 
いつもいっしょに/
こんのひとみ・作 いもとようこ・絵



私はけっこう絵本が好きなんですよ。
若い時は興味なかったんですけど。
子供ができると必然的に絵本に接する機会が増えます。
そうするとですね、
絵本って子供だけでなく
大人に向けてもメッセージを発信してるということがわかったんです。

特に動物が出てくる話ね。
擬人法でストーリーが進むんですよ。
人間だとリアルすぎて子供は引いちゃうかもしれない内容でも
ソフトに伝わりますね。
私は「いもとようこ」さんの絵が大好きです。
弟たちができて戸惑う兄を描いた「ぼくはおにいちゃん」とか
題名はわすれちゃったけど、ねこの子供たちがけんかしたり、おかあさんにくっついたりする話とか
ほんわかする絵で癒されますよ。

今日は本屋に行ったら
たまたま、いもとようこさんの
「いつもいっしょに」をみかけたんで
得意の立ち読みをしました。
実は私は立ち読み名人で、本屋さんの敵なんですわ。
でもたまには買いますよ(笑)。
この本は非常に評価の高い絵本なんで
前々から気になってたんです。

ストーリーは
ひとりぼっちで暮らしているくまのところに
ある寒い夜、うさぎがやってきます。
寒さにふるえているうさぎに
くまは温かい食事を作ったりして世話をしてあげます。
いままでひとりだったくまは
誰かのために一所懸命してあげることに喜びを覚えます。
ベッドでふたりで眠ると、暖かくて落ち着きます。
くまはとても幸せになりました。

でも
うさぎは、いつもニコニコしているだけで
何もしゃべりません。
うれしいとも、おいしいとも言いません。
だんだんくまは不安になり
ある日、うさぎに大声で怒鳴ってしまいました…。

結末は書かないよ~。

とても切ない話です。
くまは、うさぎを失って初めて
「愛する人と一緒にいるだけで幸せ」
ということに気づきます。
うさぎはニコニコして一緒にいるんだから
くまのことを嫌いなはずないのにね。
でもくまにしてみれば
「こんなに尽くしてあげてるのに、本当はどう思ってるんだろう。
自分のひとりよがりなんだろうか」
と不安になるのも無理ないことです。

こうした、ちょっとした心のズレで
いろんな別れと出会いが生まれてくるわけですね。
絵本といえども
決して子供だけに向けて創られているのではありません。

でも
「一緒にいるだけで幸せ」

「そばにいるだけで気分が悪い」
に変化するのもよくある話だよね。

なんて
ひねくれた考え方をするようになった自分がコワイや。