随分とご無沙汰しています”デヴィッド・ボウイ”特集を続けてたいと思います。(ちなみに、前回は6月16日の⑩『スティション・トゥ・スティショウン』になります。)
今回は、名作『LOW』(1977年)です。この年に、セックス・ピストルズが大英帝国に現れて、いわゆる”パンク・ロック”と言う大きなRockの波が世界中に広がりました。
そんなパンク・ロックの衝撃!にあのストーンズさえも”古い”・”肥大”したとさえ言われた時代に、突如として、現れたのが、このデヴィッド・ボウイのアルバム『LOW』です。
何回か記事にしてますが、このアルバムは、当時、友だちの家で聴きました!1曲目の<スピード・オブ・ライフ>を聴いた時の衝撃が35年経った今でも鮮明に憶えています。このギターではない?歪んだリフを刻む楽器は何だ?おまけにヴォーカルもないじゃないか?理解できない不思議な感覚でした?(何故か?その時に、友だちが持っていたギター・シンセサイザーなる楽器も思い出します・・・)
『LOW』(1977年)
①<スピード・オブ・ライフ>斬新なリフを奏でている楽器はシンセサイザーである!でも今よく聴くと、ギターとのユニゾンであることがわかる!和太鼓みたいなドラムとの強烈なコラボとなっている。当時、パンク・ロックから”ニュー・ウェイブ”と言う音楽が始まったか、このボウイの曲がその発祥(源)のように思われる。
②<壊れた鏡>ジョン・レノンのギターのようなイントロ!前作からのファンキーを引きずった曲である。
③<ホワット・イン・ザ・ワールド>とてもにぎやかな楽器ごちゃ混ぜ満載な曲である。この曲では、ブライアン・イーノが参加している。
④<サウンド・アンド・ヴィジョン>ギターのファンキーなリフがめちゃカッコイイ!そこにシンセが絡んで不思議な曲になっている。
⑤<いつも同じで>暗めでどこか淀んだ雰囲気の曲!
⑥<ビー・マイ・ワイフ>”ビー・マイ・ベイビー”ってタイトルはありますが、ここでは”妻になって欲しんだ”とボウイは歌います。強いタッチのピアノが印象的である。
⑦<ニュー・キャリア・イン・ニュー・タウン>軽快なサウンドで始まります。インストゥルメンタルで歌が入っていません。これもニュー・ウェイブの走りなんでしょうね!
アルバムではB面
⑧<ワルシャワの幻想>映画音楽のような壮大なスケールの曲です。
ワルシャワはポーランドにあるそうで、このアルバムは、ドイツのベルリンにおいて一部作成されています。1977年と言えば、まだまだ、米ソの冷戦下ですので、ドイツも東と西に分かれていた時代です。この情況を当時、このような音楽で表現してたのですね!
⑨<アートの時代>前曲から何気なく始まりますので、曲の切れ目がわかりません。リズム・ボックスが軽く入っています。ヨーロッパの深い歴史に迷い込んだ感覚に陥ります。
⑩<嘆きの壁>原題は、”WEEPING WALL”(泣いている壁)ですので、ベルリンの壁を現しているのでしょうか?ヨーロッパのプログレみたいに抒情的なサウンドが展開します。
⑪<サブテラニアンス>この曲でB面が終わります。つまりB面は組曲になっていて1曲を通して聴くと言うことになっています。物憂げなサクソフォンのなか、ボウイのボーカルが悲しく絡みます。まるで映画を観ているような感覚に陥ります。
このアルバムからボウイのヨーロッパ3部作が始まったとされてますが、A面はアメリカ(米国)のファンキーなサウンドと新しい音に満ちあふれ!B面は、当時の東西ドイツの情況をシンセの世界で表現した一大絵巻になっています。
とても素晴らしいアルバムです。