今朝のNHKの日曜討論を見ていたら、自民党の世耕参議院議員が、なぜ日本はワクチン開発に乗り出さなかったのかと問われ、「日本人の間でワクチンに対する拒否感が強くて、製薬会社が製造に取り組まなくなった」というようなことを言っていた。
あの10代女性に対する「子宮頸がんワクチン」(HPVワクチン)による副作用被害があり、その後の訴訟が全国的に起こされた、ということを念頭にそう言ったのだろう。
あのワクチンは外国製で、欧米では一般的なワクチンだったのだろうが、日本ではかなりの副反応による被害を生んでしまった。もちろん政府の承認が無ければワクチン接種認可も下りなかったわけで、これは単に輸入した製薬会社の問題ではない。政府の対策こそ問われなければなるまい。
今度の新型コロナウイルスに対するワクチンも、すべて外国製で、それを「ベスト・エフォート」契約したようで、向こうの都合によって出荷が止められ、結果として計画的な輸入(購入)の目途が立たなくなってしまった。
いま日本政府は慌ててインドに日本向けへワクチンの増産を依頼しているらしい。欧米の対応に右往左往しているようにしか見えない。
日本はここ15年位、毎年のようにノーベル賞受賞者を輩出するほどの「科学大国」でありながら、ワクチン一つ作れなくなってしまったのだ。
ソ連が真っ先にスプートニクという名のワクチンを実用化し、次いで中国が、そしてインド、ドイツ、イギリス、アメリカと目ぼしい大国はみなワクチン戦略で優位に立とうと思しのぎを削っているというのに、ただ指をくわえて見ているのが日本だ。
去年の今頃は学校の休校措置が行われ、部活も自粛され、世間でも自粛と「三密回避」の掛け声が連日飛び交い、そのせいもあって先進国ではけた違いに感染者も死者も少なかった。4月の末頃になると安倍首相の「日本型感染対策は誇るべきものだ」というような自惚れともとれる発言を生んだ。
しかし世界の感染状況はより一層ひどいものになり、安倍首相の「日本はもう大丈夫だ」との自信をよそに、東京オリンピックの延期が決まった。
この自画自賛の前に、なぜ日本は総力を挙げてワクチン開発に向かわなかったのだろうか。東京オリンピックを開催するためにも、早くワクチンを開発して欧米の感染を抑え込まなくてはとの気概をなぜ持たなかったのだろうか。不思議でならない。(※同じ頃、アメリカ製の治療薬レムデシビルが緊急承認されたが、日本製のアビガンは無視された。)
あの頃、たいていの日本の感染症学者は「ワクチンができるのはどんなに早くても1年、通常は2~3年はかかる」と口を揃えて言っていたように思うが、実際はアメリカのファイザー社製が10か月くらいでできているではないか。これら感染症学者たちは、まるで日本でのワクチン生産よりアメリカの製薬会社のワクチン生産を支持していたかのようだ。
レムデシビルにせよファイザー社、モデルナ社のワクチンにせよ、日本は「言い値で、いいように」買わされているような気がする。戦闘機などの兵器と同じうように。
1年延期されて今年の7月23日に開会を迎える東京オリンピックは、菅総理によれば「人類が新型コロナウイルスに打ち克った証として開催する」そうだが、ワクチンも生産できない国が「打ち克った」と言っても、「感染を抑えたのはどこの国のワクチンだったのか。自分の国ではできなかったくせに」と突っ込まれはしないだろうか。
それとも「強固な同盟国アメリカのワクチンのおかげで東京オリンピックが開けますよ」と正直に言うのだろうか。情けない話だ。
IOCのバッハ会長が声明で、「東京オリンピック参加選手には中国製のワクチンを打ちたい」と言ってきたが、さすがに「それは無い」と丸川珠代五輪担当大臣が拒否反応を示したが、バッハ会長としてはどこの国のワクチンでも、とにかく開催できればそれでいい、ということだろう。
何しろオリンピック放映権をめぐってアメリカメディアから支払われる巨額なマネーも、オリンピックが開催されなければ元も子もなくなるのだ。それでいながら「ワクチンくらい中国製でも構わないだろう」と踏み込んでしまった。もしかしたらアメリカマネーからチャイナマネーに乗り移る気ではあるまいな、冬季北京オリンピックもあることだし・・・。
それはともかく、今度のワクチンを巡る対応を見ても、日本の外交の不手際は世界の中で際立っている。「アメリカとの強固な同盟関係」が外交音痴にしているのは、軍事も同列だ。
「尖閣諸島は強固な同盟国アメリカが守ってくれますよ」と呑気なのが日本だ。尖閣諸島を自民党政府がなかなか国有化しないでいるのにしびれを切らした石原都知事が、「あれを東京都が買い取る」と息巻いたことがあった。それでも自民党政府は国有化しなかった。
結局、民主党の野田政権になって国有化したわけだが、自民党政府のへっぴり腰外交には呆れる他ない。
いま種子島の離島「馬毛島」の国有化後の日米共同訓練場整備の問題で大揺れだが、国有化した途端に米軍との共同訓練場が計画された。こんな市民生活に近い所に対中国の共同訓練基地を整備するよりも、尖閣諸島に造ったらどうか。中国の「海警」に対抗するためにも。
あの10代女性に対する「子宮頸がんワクチン」(HPVワクチン)による副作用被害があり、その後の訴訟が全国的に起こされた、ということを念頭にそう言ったのだろう。
あのワクチンは外国製で、欧米では一般的なワクチンだったのだろうが、日本ではかなりの副反応による被害を生んでしまった。もちろん政府の承認が無ければワクチン接種認可も下りなかったわけで、これは単に輸入した製薬会社の問題ではない。政府の対策こそ問われなければなるまい。
今度の新型コロナウイルスに対するワクチンも、すべて外国製で、それを「ベスト・エフォート」契約したようで、向こうの都合によって出荷が止められ、結果として計画的な輸入(購入)の目途が立たなくなってしまった。
いま日本政府は慌ててインドに日本向けへワクチンの増産を依頼しているらしい。欧米の対応に右往左往しているようにしか見えない。
日本はここ15年位、毎年のようにノーベル賞受賞者を輩出するほどの「科学大国」でありながら、ワクチン一つ作れなくなってしまったのだ。
ソ連が真っ先にスプートニクという名のワクチンを実用化し、次いで中国が、そしてインド、ドイツ、イギリス、アメリカと目ぼしい大国はみなワクチン戦略で優位に立とうと思しのぎを削っているというのに、ただ指をくわえて見ているのが日本だ。
去年の今頃は学校の休校措置が行われ、部活も自粛され、世間でも自粛と「三密回避」の掛け声が連日飛び交い、そのせいもあって先進国ではけた違いに感染者も死者も少なかった。4月の末頃になると安倍首相の「日本型感染対策は誇るべきものだ」というような自惚れともとれる発言を生んだ。
しかし世界の感染状況はより一層ひどいものになり、安倍首相の「日本はもう大丈夫だ」との自信をよそに、東京オリンピックの延期が決まった。
この自画自賛の前に、なぜ日本は総力を挙げてワクチン開発に向かわなかったのだろうか。東京オリンピックを開催するためにも、早くワクチンを開発して欧米の感染を抑え込まなくてはとの気概をなぜ持たなかったのだろうか。不思議でならない。(※同じ頃、アメリカ製の治療薬レムデシビルが緊急承認されたが、日本製のアビガンは無視された。)
あの頃、たいていの日本の感染症学者は「ワクチンができるのはどんなに早くても1年、通常は2~3年はかかる」と口を揃えて言っていたように思うが、実際はアメリカのファイザー社製が10か月くらいでできているではないか。これら感染症学者たちは、まるで日本でのワクチン生産よりアメリカの製薬会社のワクチン生産を支持していたかのようだ。
レムデシビルにせよファイザー社、モデルナ社のワクチンにせよ、日本は「言い値で、いいように」買わされているような気がする。戦闘機などの兵器と同じうように。
1年延期されて今年の7月23日に開会を迎える東京オリンピックは、菅総理によれば「人類が新型コロナウイルスに打ち克った証として開催する」そうだが、ワクチンも生産できない国が「打ち克った」と言っても、「感染を抑えたのはどこの国のワクチンだったのか。自分の国ではできなかったくせに」と突っ込まれはしないだろうか。
それとも「強固な同盟国アメリカのワクチンのおかげで東京オリンピックが開けますよ」と正直に言うのだろうか。情けない話だ。
IOCのバッハ会長が声明で、「東京オリンピック参加選手には中国製のワクチンを打ちたい」と言ってきたが、さすがに「それは無い」と丸川珠代五輪担当大臣が拒否反応を示したが、バッハ会長としてはどこの国のワクチンでも、とにかく開催できればそれでいい、ということだろう。
何しろオリンピック放映権をめぐってアメリカメディアから支払われる巨額なマネーも、オリンピックが開催されなければ元も子もなくなるのだ。それでいながら「ワクチンくらい中国製でも構わないだろう」と踏み込んでしまった。もしかしたらアメリカマネーからチャイナマネーに乗り移る気ではあるまいな、冬季北京オリンピックもあることだし・・・。
それはともかく、今度のワクチンを巡る対応を見ても、日本の外交の不手際は世界の中で際立っている。「アメリカとの強固な同盟関係」が外交音痴にしているのは、軍事も同列だ。
「尖閣諸島は強固な同盟国アメリカが守ってくれますよ」と呑気なのが日本だ。尖閣諸島を自民党政府がなかなか国有化しないでいるのにしびれを切らした石原都知事が、「あれを東京都が買い取る」と息巻いたことがあった。それでも自民党政府は国有化しなかった。
結局、民主党の野田政権になって国有化したわけだが、自民党政府のへっぴり腰外交には呆れる他ない。
いま種子島の離島「馬毛島」の国有化後の日米共同訓練場整備の問題で大揺れだが、国有化した途端に米軍との共同訓練場が計画された。こんな市民生活に近い所に対中国の共同訓練基地を整備するよりも、尖閣諸島に造ったらどうか。中国の「海警」に対抗するためにも。