いくたびも雪の深さを尋ねけり
言わずと知れた正岡子規の有名な句。今朝の雪を見ていたらすぐに浮かんで来ました。
まあ、雪と言ってももう春の雪なんですが、こちらでは今年一番の大雪なんです。前にも雪の写真を載せましたが、それと比べてみるとよく分かります。指で測ってみると7㎝ありました。前の時は3㎝ぐらい…。それに今日は止んだかと思うとまた降ってきて、日も射さないのでなかなか雪は溶けません。このままいくと…明日が思いやられます。だって明日は句会ですから。
この連休ずうっと…オリンピックを見るのにも飽きました。だって今までのところ日本選手にいいところないですから…選手の皆さんは一生懸命頑張ってくださっているのに申し訳ないんですが…。人間って欲張りですよね。出場するだけでも凄いことなのに…あまりにもマスコミが扇動しすぎるので、それに踊らされて(踊らされなければいい!)良い成績を出すのが当り前のような気になって…プレッシャーが大きいでしょうね。皆さん負けずに頑張って下さ~い。
話が逸れてしまいました。前掲句は明治29年作。子規が「病中雪」として詠んだ四句中の二番目の句です。この頃より子規の病気(カリエス)は悪化して、起きるのさえままならぬ状態になったようです。その時の他の三句、
雪ふるよ障子の穴を見てあれば
雪の家に寝て居ると思ふばかりにて
障子明けよ上野の雪を一目見ん
これらの句を読めば、子規が〝雪〟にかなり執着しているのが分かるでしょう。当時は東京での雪が珍しかったのでしょうか?恐らくそんなことはないと思います。生れ故郷の松山からすれば東京の方が寒かったでしょうから。そういう意味から考えれば〝雪〟に対する思いというのは雪国の人とは違うでしょうね。寒さよりも、天から舞い降りてくる美しい使者のような神秘的なものと…私もそうでしたが、雪が降るとなぜかルンルン気分になったものです。きっと雪の苦労が身についてないからでしょうが…。
障子の穴から見ると、何時になく相当降っている…これはかなり積もるぞ!と思えば、今どれくらいか知りたくなると言うもの。ますます降りつのる雪…もうどれくらい積もっただろうか?とまた聞かずにはおれない子規。忙しい母や妹は一度見ればそれで気が済むからそれ以上は余り気にならない…ところが他に気を紛らわせるもののない子規には今雪の積もり具合が一番の関心事だったのです。子規の性格からするとうるさいぐらい聞いたんでしょうね。何てことないような句ですが…家族の暮らしの一齣が見えてくるような気がしませんか?
今朝起きてビックリです!真っ白になってる~と、何はともあれ写真を撮りました。窓から見るとまだ吹雪いています。障子ではないのですぐに様子は分かりますけどね。子規の気持ちが良く分かります。ましてや病気で起き上がれないのですから。ちなみに、明治32年に虚子がこの障子を窓ガラスに入れ替えてやったそうですよ…。そういえば根岸の子規庵に行ったとき、障子ではなくガラス戸であったような?