今日は朝から雨…今もショボショボと…まさにこの感じで降っています。
ニュージランドの旅はちょっとお休みして、今日は昨日の句会について書きましょうか。兼題は「代田(しろた)」、初夏の季語です。
代掻き(しろかき)、これも初夏の季語ですが、それが終わっていつでも田植が出来る状態になった田を「代田」といいます。昔は牛馬や人間の手で、今はトラクターや耕耘機で土塊を砕き、その後田面の高低を朳(えぶり)で平らにして、代田にします。
幣たれてよき雨のふる代田かな 篠田悌二郎
水増して代田ひしひし家かこむ 上田五千石
上掲の二句とも代掻きが終って田に水がしっかりと張られた様子を詠んだもの。悌二郎の句は、田に幣を立てて田の神に今年の豊作を祈ったのでしょう、その幣が雨に濡れている…「よき雨」と言い切ったところに実感がこもっています。五千石の句は、代掻きの後に田水を引く様子でしょうが、「ひしひし家かこむ」の把握に独自の発見があっていいですね。
さてさてわが句会では…〈ローカル線一駅続く代田かな〉が最高点句でした。
こちらを走っている鉄道といえば…宇部線、小野田線、山口線、美祢線など、みんなローカル線ですが、もうかなりの駅が無人駅になっていて、通学時間帯に混み合うぐらいのもので後はガラガラですよ。この句、まあこのあたりの実感で高点になったのでしょうが、私は「一駅」に少し違和感がありました。だってさきに挙げたローカル線は一駅どころではありませんもの。あの山陽本線でさえこのあたりでは田圃ばかりのところを走っていますからね。〈代田また代田ローカル線の旅〉とでもして、できれば「一駅」を消したいところ。でもローカル線という句材を用いれば、必然的に〝田舎〟、すなわち〝田園〟も見えてくるからそこが問題なんですけどね。(笑)
庭に〝二人静〟が咲いていました。センリョウ科の多年草で晩春の季語。同属の〝一人静〟は花穗が1本なのに対し普通2本あるのでいう。
身の丈を揃へて二人静かな 倉田紘文