今年の米国大統領選挙は民主党の候補者選びが記録破りの接戦となりましたが、ここにきてクリントン氏が退き、オバマ氏が民主党の候補指名を受ける見込みになり、これから共和党のマケイン候補との本選を迎える運びとなりました。 この秋米国民の皆さんが選ぶ米国大統領は単に一国の指導者にとどまらず、世界の命運をも左右しうる指導者の一人であるがために、世界中の人々がその選挙情勢に無関心ではいられないのです。
現大統領ブッシュ氏について、私はかつて見たテレビニュースの一シーンの強烈な印象を今でも忘れることができません。 時期ははっきり覚えていません。 たぶん8年前の大統領選挙の前後だったと思いますが、彼はこのように言ったのです。 「フセインはパパ(ダディだったかも)を殺そうとした奴だ。 絶対に許せない。」 現在にいたるイラク戦争はネオコンで脇を固めたブッシュ氏がCIAなどの情報機関の誤った情報をもとに、国連安全保障理事会の慎重論を押し切って開戦したことになっています。
しかし情報機関からの情報がいかにせよ、彼本人が先頭に立ってしゃにむに戦争を仕掛けたのではないでしょうか。 父ブッシュ元大統領の命を狙ったフセイン氏に対する報復の気持ちが開戦動機の少なからざる部分を占めていたのではないのでしょうか。 またイラクの石油利権を狙ったという見方もあります。 実際に現在のイラクの石油利権のほとんどが米国資本に握られているのも確かです。 更に米国の軍需産業も彼の背中を押したことでしょう。 開戦以来の膨大な軍需物資の消耗が米国経済のさらなる破綻と引き換えに彼らの懐を潤しています。
8年前のあのテレビニュースを目の当たりにした私にはどうしても上記の憶測を拭い去ることができません。 開戦前後にはフセイン氏に対して「かかって来い」と言い放ったニュース映像も見ました。 これらは米国大統領として、さらには世界屈指の指導者の言葉として耳を疑うべきものです。 イラク戦争の泥沼状態は21世紀初頭の世界を暗雲で覆い尽くしています。 歴史に“もしも”は無いのですが、8年前にもしもゴア氏を推す力がほんの少しでも勝っていたらどうだったでしょうか。
まず地球温暖化防止のための京都議定書からの米国の離脱は無かったでしょう。 ゴア氏のその後の活動実績からもこれは推測できます。 次に同時多発テロはやはり発生し、国連安保理決議のもとアフガニスタンへの侵攻は現実と同様にあったかも知れません。 しかしイラク戦争は無かったのではないでしょうか。 私怨に駆られ、ネオコンで脇を固め、国内資本や軍需産業の利益を優先した現ブッシュ政権はあまりにも内向的かつ好戦的だったと言わざるを得ません。
皆さんの現職大統領を悪く言ってまことに申し訳ありません。 しかし世界連邦の早期実現を希求する一人として皆さんにお願いします。 この秋の本選挙では私怨を止揚し、米国の利益のみならず、世界全体の恒久平和と貧困からの脱却を推し進めることのできる人物を是非とも選出していただきたくお願いする次第です。 なぜなら米国はいまだに軍備を含めあらゆる面で世界の超大国であり、米国がその気にならない限り世界連邦の実現もないのですから。