まるで国定教科書！

　今朝の新聞で報道された高校社会系教科書の検定結果に驚いています。これまでも教科書検定は自民党政権の意向に沿った記述に書き直されることが続いてきましたが、今回はより徹底し、かつ露骨になりました。これでは戦前から戦中まで続いた国定教科書に近いものになってしまいます。
　かつての国定教科書は小学生以上の国民を皇民として洗脳し、異論を廃し、全体主義に巻き込んで行く役割を果たしました。戦後はその反省に立ち、記述内容を教科書会社の裁量に任せ、明らかな誤りだけを正すために国が検定することになったのです。
　しかしこの検定は次第に自由な記述を制限するようになりました。今回からは他国との間に見解の相違がある問題に関して政府の見解を併記するようになったのですが、実際の検定結果を見ると政府の見解と異なる表現が殆ど削られています。これがかつての国定教科書に近いと呼ぶ所以です。
　教育はメディアと並んで政権が影響を及ぼしてはならない最たる分野です。影響を及ぼせば反論を許さない全体主義の社会となり、戦前・戦中の我が国、今の中国や北朝鮮の様な非民主の社会になって行ってしまうのです。そして次第に新たな「戦前」に向かうことでしょう。
　原状の国の教科書検定を廃止し、公正取引委員会や原子力安全委員会の様な独立性の高い「３条委員会」としての教科書検定委員会を設ける様提案します。同様に放送倫理検証委員会も「３条委員会」とし、放送法の改定も加えて政権からの干渉を受けないようにすべきではないでしょうか。