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1月末の閣議決定撤回と国家公務員法改正を!

2020-05-26 19:40:48 | より良き我国のために
 黒川前検事長はコロナ禍の緊急事態宣言下にも関わらず、賭けマージャンをした廉で訓告を受け、先日退職済です。にもかかわらず何故今更1月末の定年延長閣議決定を撤回させる必要があるのかと疑問に思う方もいるかも知れません。しかしこれは今後我が国の司法の、政権からの独立を取り戻す為にとても大事なことなのです。
 安倍政権は去る1月31日の閣議で2月7日に63歳の定年を迎える東京高検の黒川検事長の任期を半年間延長するという決定をしました。本来検事長の定年は検察庁法第22条で63歳と定められています。一方国家公務員法第81条の3では「任命権者は、定年に達した職員が前条第1項の規定により退職すべきこととなる場合において(一部略)同項の規定にかかわらず、その職員に係る定年退職日の翌日から起算して1年を超えない範囲内で期限を定め、その職員を当該職務に従事させるため引き続いて勤務させることができる。」とされています。
 この「前条第1項」というのは、同法81条の2第1項の「職員は、法律に別段の定めのある場合を除き、定年に達したときは、定年に達した日以後における最初の3月31日(一部略)に退職する。」という規定であり、この規定で「法律に別段の定めのある場合を除き」とされている「別段の定め」が検察官の場合の検察庁法22条です。検察官の場合、定年退官は、国家公務員法の規定ではなく、検察庁法の規定によるものであり、81条の2の「第1項」の規定によるものではありません。つまり国家公務員法81条の3による「勤務延長」の対象外であり、今回黒川検事長の定年退官後の「勤務延長」を閣議決定したのは検察庁法に明確に違反する違法行為です。
 この度は当の黒川氏が退職しましたが、この違法な閣議決定は消えていません。これを放置するとそのまま実績となり、同じことが繰り返される恐れがあります。それは時には総理大臣をも罪に問うべき司法が、時の政権に左右され独立性が失われる事で、民主主義の土台を揺るがす由々しき事態です。何としても先の閣議決定を撤回させねばなりません。
 ところで安倍政権は今国会での成立を目指していた検察庁法の改悪をしぶしぶ断念しました。現下はCOVID-19禍で国会議事堂前などでのデモがしづらい状況ですが、政権がそれをも計算に入れていた可能性もあり、「火事場泥棒」と揶揄されていました。一方でこの法案に反対するネット上の投稿「#検察庁法改正案に抗議します」は俳優やタレントなどの著名人を含め一千万通近くにも達しました。加えて元検察トップ有志や特捜部OB有志も反対を表明するに及んで断念せざるを得なくなった模様です。ただし政権はこの法案を継続審議として秋の臨時国会以降での成立を目指す姿勢です。安倍総理は「(法案成立後)恣意的な人事はしない」と答弁していますが、1月末に同法案の予行演習とも言える違法な人事を閣議決定した当人の弁で有り、全く信用できません。安倍政権がこの法案を再提出した際は再び轟々たる「反対」世論を巻き起こしてこれを阻止せねばなりません。何故ならこれは1月の違法な閣議決定を後付けで正当化する為の法案だからです。
 むしろ秋の臨時国会以降では国家公務員法の定年延長法案の中に、「但し検察官の定年については検察庁法第22条によるものとする」という但し書きを追加して政権による「法律解釈変更」の余地を無くすべきではないでしょうか。奇しくもコロナ禍の元で多大な成果を発揮したネット世論を更に駆使し、より多くの国民の皆さんの賛同を得て是非とも実現したいものです。