私の母は1997年に病院で酷く苦しみながら亡くなりました。多発性脳梗塞でその3年後から始まる介護保険制度で言えば要介護5のレベルでした。しばらく点滴による栄養補給が続いた後、再び病院スタッフの介助のもと経口食に切り替えた直後に食べ物が気管に入り、誤嚥性肺炎になりました。やがて全葉性肺炎となり、苦しい息使いのまま一週間後に旅立ちました。母の主治医が書いた死亡診断書には「死因:全葉性肺炎、その原因:不明」と書かれていました。原因を正しく誤嚥性肺炎と書かず、不明としたのは、「医療事故扱い」となることを恐れたのでしょう。医師としての保身の為の記述不正だと感じました。
ところで本稿の主題は3月11日世界保健機構(WHO)がパンデミック(世界規模での蔓延)宣言をした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の件です。相前後してWHOは「積極的にPCR検査をして蔓延を抑えるべし」と声明を出しています。しかし安倍政権はこのPCR検査を故意に抑えて来た節があります。2月末頃の韓国での1日のPCR検査数約4万件、中国でも数万件に対し、我が国は1000件前後、最大でも3800件と一桁以上少ないのです。我が国のこの異常な少なさについて3月1日付けのビジネスジャーナル誌は次の様に伝えています。つまり政府のCOVID-19対策専門家会議のメンバー構成に利権絡みの偏りがあり、PCR検査の実施機関を国立感染症研究所と各大学病院に限っているとのことです。その為検査能力は1日最大6200件に留まりますが、これを民間の検査機関にまで広げれば約100社の900拠点で1日最大10万件の能力に達するというのです。
安倍政権にはPCR検査数を抑えたいもう一つの理由があります。それは東京オリンピック・パラリンピックです。PCR検査数を増やせば感染者数も増えますが、それは開催延期または中止に繋がるので何としても避けたいのでしょう。確かにその事態は選手を始めとするあらゆる関係者・組織にとって莫大な損失となります。しかしそれらはPCR検査をしない為に落とす一つの命よりも重いとは言えません。COVID-19に対して今我が国と世界がすべきは徹底したPCR検査と徹底した隔離しか無いのではないでしょうか。見かけの感染者数を減らしても決して世界の称賛を得る平和の祭典の開催にはならず、返って(美しい筈の)日本の品格を落とすだけです。
先日WHOは更に「検査、検査、検査をすべし」と呼び掛けました。名指しはしていませんが、その視線は主に日本に向いています。このほど米国大手メディアのブルームバーグはCOVID-19の世界統計から日本を外しました。理由はPCR検査が異常に少なく、実態を隠していると判断した為です。日本医師会は3月16日までの20日間で医師がPCR検査を保健所に要請しても断られた件数が290件あると発表しました。その理由は「人手不足や肺炎症状の更なる経過観測要求」だそうです。肺炎症状のある人は経過観測するうちに死んでしまう危険性があります。去る16日にはネット上に複数の葬祭業者からの告発文がありました。東京都からの通達を踏まえた葬儀社の対応として曰く「死亡後24時間未満でも火葬可。医療機関は遺体を納体袋に収めた後表面を消毒して納棺後搬送業者に引き渡す。葬儀社では安全の為防護服を着用して遺体を扱う。PCR未検査が多い為、死亡診断書上の死因が肺炎だけの場合もCOVID-19患者として扱う」
ところで昨日の格闘技イベントKーI開催には肝が冷えました。安倍政権がPCR検査を抑制したままでは感染数が見かけ上少ないままとなり、この様に国民の警戒心に緩みが生じます。「今の内なら大丈夫かも…」と思って外出する人も居るでしょう。結果として高齢者、基礎疾患を持つ人が「肺炎」で亡くなるケースが異常に増える危険性があります。医師がPCR検査を要望しても保健所に断られた後に死亡した患者の場合、死亡診断書の死因は「肺炎又は全葉性肺炎」と書かれます。次に「その原因」の欄には「不明」と書かれることでしょう。未検査なのでCOVID-19とは書けないからです。23年前に母を見送った私がそうである様に、こうした患者の遺族は死亡診断書の死因欄の記載内容に不信感を抱いたまま毎年の命日を迎えることになるのです。
ところで本稿の主題は3月11日世界保健機構(WHO)がパンデミック(世界規模での蔓延)宣言をした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の件です。相前後してWHOは「積極的にPCR検査をして蔓延を抑えるべし」と声明を出しています。しかし安倍政権はこのPCR検査を故意に抑えて来た節があります。2月末頃の韓国での1日のPCR検査数約4万件、中国でも数万件に対し、我が国は1000件前後、最大でも3800件と一桁以上少ないのです。我が国のこの異常な少なさについて3月1日付けのビジネスジャーナル誌は次の様に伝えています。つまり政府のCOVID-19対策専門家会議のメンバー構成に利権絡みの偏りがあり、PCR検査の実施機関を国立感染症研究所と各大学病院に限っているとのことです。その為検査能力は1日最大6200件に留まりますが、これを民間の検査機関にまで広げれば約100社の900拠点で1日最大10万件の能力に達するというのです。
安倍政権にはPCR検査数を抑えたいもう一つの理由があります。それは東京オリンピック・パラリンピックです。PCR検査数を増やせば感染者数も増えますが、それは開催延期または中止に繋がるので何としても避けたいのでしょう。確かにその事態は選手を始めとするあらゆる関係者・組織にとって莫大な損失となります。しかしそれらはPCR検査をしない為に落とす一つの命よりも重いとは言えません。COVID-19に対して今我が国と世界がすべきは徹底したPCR検査と徹底した隔離しか無いのではないでしょうか。見かけの感染者数を減らしても決して世界の称賛を得る平和の祭典の開催にはならず、返って(美しい筈の)日本の品格を落とすだけです。
先日WHOは更に「検査、検査、検査をすべし」と呼び掛けました。名指しはしていませんが、その視線は主に日本に向いています。このほど米国大手メディアのブルームバーグはCOVID-19の世界統計から日本を外しました。理由はPCR検査が異常に少なく、実態を隠していると判断した為です。日本医師会は3月16日までの20日間で医師がPCR検査を保健所に要請しても断られた件数が290件あると発表しました。その理由は「人手不足や肺炎症状の更なる経過観測要求」だそうです。肺炎症状のある人は経過観測するうちに死んでしまう危険性があります。去る16日にはネット上に複数の葬祭業者からの告発文がありました。東京都からの通達を踏まえた葬儀社の対応として曰く「死亡後24時間未満でも火葬可。医療機関は遺体を納体袋に収めた後表面を消毒して納棺後搬送業者に引き渡す。葬儀社では安全の為防護服を着用して遺体を扱う。PCR未検査が多い為、死亡診断書上の死因が肺炎だけの場合もCOVID-19患者として扱う」
ところで昨日の格闘技イベントKーI開催には肝が冷えました。安倍政権がPCR検査を抑制したままでは感染数が見かけ上少ないままとなり、この様に国民の警戒心に緩みが生じます。「今の内なら大丈夫かも…」と思って外出する人も居るでしょう。結果として高齢者、基礎疾患を持つ人が「肺炎」で亡くなるケースが異常に増える危険性があります。医師がPCR検査を要望しても保健所に断られた後に死亡した患者の場合、死亡診断書の死因は「肺炎又は全葉性肺炎」と書かれます。次に「その原因」の欄には「不明」と書かれることでしょう。未検査なのでCOVID-19とは書けないからです。23年前に母を見送った私がそうである様に、こうした患者の遺族は死亡診断書の死因欄の記載内容に不信感を抱いたまま毎年の命日を迎えることになるのです。