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慰安婦強制連行の証拠無し?

2016-02-21 17:21:15 | より良き我国のために
 16日スイス・ジュネーブの国連欧州本部で国連女性差別撤廃委員会の対日審査が行われました。杉山外務審議官は質疑で「政府の事実調査では日本軍や政府による強制連行を確認できる資料は無かった」と発言しました。これに対し国連側は「歴史を捻じ曲げてはいけない」等と反発して日本政府を激しく批判したようです。(この国連の反発部分に付いては日本の大手メディアで報道されていません)

 この「強制連行の証拠無し」は安倍総理を含む我が国の右翼論客の以前からの発言にありました。つまり裏を返せば彼らは「慰安婦は自由意志で応募し、対価を得て従軍した」、「当時の日本政府と日本軍は非道なことはしていない」と言いたいのです。本当にそうなのでしょうか。ここに二つの疑いを提示します。

 第一は「強制連行の証拠書類は有るけれども無いことにしている」のではないかという疑いです。1960年以来の「核密約」を歴代の政権が隠し続け、2007年米側の資料発覚後も「無い」と言い張り、2010年の民主党政権になってやっと認めた前歴が有ります。
 更には1983年に作成された薬害エイズの「郡司ファイル」は訴訟の度に厚生省が「見つからない」と言い続け、1996年の菅厚生大臣になって、文書ロッカーを捜査担当者毎に割り当てる工夫によってはじめて見つかりました。菅大臣の気迫とこの工夫が無ければ今でも「見つからない」事になっていたことでしょう。「都合の悪いことは隠したい」のは人情ですが、主人筋である国民を騙し続けるあくどさは米国政府よりも日本政府の方が数段酷いと言えます。

 第二は「強制連行の証拠書類は破棄した」のではないかという疑いです。朝日新聞の「声」の欄に「語り継ぐ戦争」のシリーズが有ります。そこでは90歳代になった元兵士達が意を決して遺言の様に暴露しています。敗戦間際に「日本軍の悪行は口外せず墓場まで持って行け」と上官に命令されたと言うのです。
 更には軍命による証拠の隠滅も大々的に行われたとする記述もありました。これに付いては小説家森村誠一氏のノンフィクション作品「悪魔の飽食」にも見られます。その終章近くに略意次のような記述があります。「敗戦間際には軍命による組織的な証拠隠滅が行われた。従って連合国側に渡って都合の悪い証拠物件はことごとく滅却されている。ただし、関東軍731部隊の人体実験記録は例外的に米国側の要望により生き残り米軍に引き渡された。その代償として731部隊長石井四郎中将以下部隊員達は戦犯訴追を逃れた。」
 
 安倍政権の今回の態度はかつて「河野談話」によるお詫びや「アジア女性基金」による賠償をしてきたこれまでの政府の方針と矛盾するもので、国連側はその点を批判しているのではないでしょうか。