オリヴィア・コールマンの風貌は大勢の中ではもちろん西洋人なのに、単独で映るとどことなく東洋人ぽいところがある。そこに僕は惹かれる。
この作品では、伝統ある映画館・エンパイア劇場の統括マネージャーの役。出勤すると支配人の部屋に行き、電気ストーブの前に彼の上履きを置いて温めるのだ。
折り目正しく、同僚からの信頼も厚い英国女性だが、実は精神を病んでいる。その感情が闇の方向に向かうギリギリを、実に微細に演じ切る女優だ。
映画館スタッフの新入りは、建築を学ぶ夢を抱く黒人青年。時代背景は1980年代初め、折しも白人至上主義の風潮が社会全体を覆っている。
思うようにならない障壁を前にする青年と、母親くらい歳の差があるマネージャーとの恋の行方が、縦軸になっている。
コリン・ファースは、従来の役とはイメージが異なる支配人を演じることには驚いた。
まだ3月だが、今年上半期に心に刻まれる映画に出逢った。
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