戦争で負った心の傷は、リアルタイムで戦時を過ごした人ばかりでなく、その子や孫までにも深い跡を遺すものだと、作品は語っている。
東西ベルリンが壁によって隔てられる5年前。
卒業試験を控えた東ドイツのエリート高校生たちが、ソビエトの弾圧により、犠牲を強いられたハンガリー市民に対し、教室で黙祷を捧げる。
わずか2分間の黙祷が、彼らの進路を大きく妨げることになるストーリー。実話。
社会主義遂行のため、黙祷を先導した首謀者を割り出しに、高校を統括する学務局幹部が現場に来る。
大人のしかけ(手練手管)により、クラスに不協和音が起こり、すぐに学級崩壊の道を辿るのだが。
そして親世代の戦時中の秘密も暴かれるに至って、個々の家庭も崩れていく。
1956年の出来事。どの国、どの地域にもこの作品のような悲劇は繰り返されてはならない。
最も怖るべきは、国民の思想を統一しようとする国家権力であろうか。