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「鳥居のある風景」 写真家:ジョニー・ハイマス
われわれ日本人にとり、「鳥居」とは何でしょうか。
特に現代人にとり、何を示唆するのでしょうか。
その答えが本書の写真の中に隠されているような気がします。
まず、目次ページの日没時の鳥居
第一ページの日の出時の鳥居
この二枚から何を感じるのか。感じないのか。
「序」の文章で、森本哲朗氏が語る一文を引用します。
「京都稲荷の千本鳥が・・・聖域への幻想的な道行を
作り上げています」「鳥居は神域への門である。」
そう、結界の内と外の境門である。
鳥居の形そのものが語る物語がある。
「天の岩戸」に身を隠した天照大神を祠から出すために
岩との前に木を立て、横木に鶏を並べて鳴かせた。」
と言う伝説。・・・まさに、鶏居ですね。
自然をいつくしむ日本の伝統は、自然(山水)への畏敬と思慕
そして、自然との共生をその精神とする。
一神教にはない、全ての慈しみと畏怖の念を込めて「神」という
像を確立しているのではないでしょうか。
本写真集を見てみると気持ちが洗われます。
もし、この数枚の写真を目前の自然として、体験できたら
どんなに素晴らしいか。
写真集という小さな世界ですが、写真家ハイマスの精神の結晶
ではないでしょうか。
凛とした空気は私たちのDNAに響くものがあります。
ぜひ、実体験が無理なら、大画面で見てみたいものですね。
最後にジョニー・ハイマス自信の言葉を紹介します。
「35年前に、始めて日本を訪れたとき、私は瞬時にこの国に
見せられ、病におかされた。日本の古の美に恋してしまった。」
体験談として、
青い目の写真家が鳥居の下で就寝中に、嵐による
倒木から鳥居が守ってくれた体験を披露している。
自然への畏怖と感謝を込めて、彼はこの体験を語る。
信仰が違っても、八百神を敬う考え方は生まれるものですね。
これからの世界は有限の資源と環境の変化という未曾有の状況に
突入します。どうやら、古の日本精神が鍵となるかもしれません。
まずは、われわれ現代日本人がその精神を学ぶ時ではないで
しょうか。
末尾に、私が好きなショットを紹介します。
最終ページ132の一枚です。
まるで、結界の内から外を見るような冬の鳥居の一枚。
なぜか、この一枚を見ると、激しい中に、慈しみの気持ちが
湧き上がる。神がいれば、このように、見ているのだろうか。
参考:アマゾン
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