灰色の羽からこの時期赤みを帯びた羽に変わります。
技術革新ばかりでなく、訓練対象が大幅に置き換わることに遭遇した。従来は主に学卒を対象とした、比較的訓練期間が長いグリーンボーイ等を対象(現在では能力開発大学校として継続されている)にしていたが、訓練対象を離職者に絞り(能力再開発訓練)、専門に短期間で育成する施設が誕生し、大幅な転換が行われたことにより、訓練方法もシステムユニット方式に変更された。従来の教材転用では分量が多く、システムユニット方式には馴染まない。そこで、教科編成指導要領から、設備基準、教材までもが一新され、本部指導による開発体制が生まれた。教材の作成委員会は組織の指導員が中心となり、開発することとなったが、教材開発に不慣れで、初めての指導員も多く、多くの難題を抱えることとなった。
従来、教材作成委員は、執筆にかかる執筆謝金や校閲謝金が支払われていたが、この根拠は、たとえ、組織の職員であっても、教材作成は本来業務でないとの内規があり、それに基づいて処理してきたが、今回のケースでは、本来業務をどうとらえるかの議論が起こり、謝金を支払うための方策を検討し、執筆責任という観点から、何とか要望に添う形を執った。しかし、指導員が作成するという新たな業務は、本来業務でないとしたため、執筆が終わった教材は、著作物からの引用がほとんどで、オリジナルとはいえない代物であった。引用書籍を特定し、著作者に許諾を執る仕事が新たに発生した。
この仕事は地方にいる指導員が行うには限界があり、無理な仕事である。結果として業者に依頼することになる。教師は教室で、少人数の生徒や学生に引用した著作物を、量や、印刷部数の制限はあるが、配布することは、学校教育法の運用で可能となっている。この運用規定が、災いし、自作教材や、新規教材作成においても(完成物は、値段が付いて売ることになる教材であった)、指導員が陥りやすいことではあるが、著作権法違反とは思わずに、引用が可能であると拡大解釈したものと思える。拡大解釈により、本末転倒を起こすような事例としてお伝えすることとした。(次回へ続きます)