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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

技術と技能の意味(5回シリーズその2)

2013年02月11日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 技術者というと、産業に必要な技術(テクノロジー)を駆使する、テクニシャン、テクニカルエキスパート、エンジニアをさすが、曖昧な部分も多い。技術士という資格があるように、国家資格とした制度がある。また、最近では、テクニカルスキル、ヒューマンスキルなどスキルという英語が幅広く使われ、能力という意味で使われるようになった。なぜかというと、技術と技能は根源に能力という意味を持っており、オーバーラップする部分を持ち、その境界も曖昧であるからである。例えば、従来、旋盤工は旋盤を操作し、バイトと呼ぶ刃物で、丸棒(鉄鋼)を削る作業であるが、NC工作機が誕生してからは、数値制御による加工も行う。更に機能を高めた自動工作機もあり(最近では5軸を持つマシニングセンターが使われている)、プログラムされた言語とそのメカニズムを知らないと操作ができない。

 数値制御はコンピューター技術者が開発した技術であり、プログラムを開発するのはプログラマーの仕事であった。新たに生まれた数値制御を取り入れた工作機は旋盤工が新たにプログラムを学び、作業に応用してきた。では、旋盤工を技能者と呼ぶのか、技術者と呼ぶのか、その区分けは困難であり、また意味をなさない。様々な技術を使いこなして初めて高度の機能を持つ製品が誕生できる。その意味では高機能であればあるほど、高い技術力が求められ、技術力を駆使した製品は製作に従事する技能者も高度な技能が要求されるのであり、高度熟練工と呼ぶ所以である。

 教え方の問題でもあるが、旋盤工はNC旋盤を容易に使いこなすことができるが、NC工作機から指導すると汎用旋盤を使いこなすことはほとんど不可能である。NC工作機の発生過程を考えればよく分かる。汎用旋盤の自動化できる部分を数値制御によっているのがNC旋盤で、バイトで丸棒を研削することは変わらないからである。精度を求めようとすると、微妙なバイトの送り出し速度や角度が影響する。また、切削りくず(切り粉)、切削する音、振動、切削油のにおい、煙の色なども関係する。作業場の温度や湿度による旋盤本体、加工材料の膨張、収縮なども精度に影響するといわれている。これらの状態や環境因子を即座に判断し、NC旋盤に、適応できるかといえば、おそらく不可能に近い。そこでは汎用旋盤工の勘や、こつを知らないと加工できない。(次回へ続きます)