サッカー狂映画監督 中村和彦のブログ

電動車椅子サッカーのドキュメンタリー映画「蹴る」が6年半の撮影期間を経て完成。現在、全国で公開中。

ブラインドサッカーのカナリア軍団来日

2013年03月20日 | ブラインドサッカー

パラリンピックブラインドサッカーの金メダルチームであるブラジル代表が来日。
「これは観とかないと」ということで、日本代表との親善試合を観に行ってきた。
WBCの決勝の日で、試合開始2時間半くらいの時点で家を出なくてはいけない。
「どうしよう。どうしよう…」と迷った挙句、試合の終盤は録画で見ることを1週間前に決意!
しかしそんな心配は残念ながら杞憂に終わり(サムライジャパン負けちゃいましたからね)、行ってきましたフットメッセ大宮。
どこだそれはと思いきや、イオン大宮店の屋上だった。

開会式にはさいたま市長の挨拶があり、ノーマライゼーションカップという大会名でもあるし当然手話通訳もつく。
当初、自分の位置からは手話通訳者が見えずあわてて通訳者のそばへ移動。手話通訳者を見ている人がどのくらいいるかと思ったが、結構人も多かったのでよくわからなかった。閉会式の時は手話通訳を見ているのは私1人だけのようだった。


それはともかく、試合は開始早々からブラジルが日本ゴールに迫る。
背番号10のヒカルド選手と7番のジェフェルソン選手のドリブルが凄いのなんの。
「ボールが足に吸いつく」とは、まさに彼らのためにある言葉。
“見えている”ようには見えなかったが、“足に目がついているんじゃないの”というふうには見えた。
とにかくドリブルのリズムがいい。
ヒカルド選手は左サイドから中央に切れ込み、ディフェンダーをかわしシュートを次々と放つ。「切り返し」もあれば「フェイント」もある。
かと思うとサイドチェンジのパスが右サイドに渡り、ジェフェルソン選手が右サイドから中央に切れ込み、強烈な右足シュート!
2人とも、シュートの1つ前のボールタッチからシュートまでのタイミングが速い!
しかもアウトにかけたりインにかけたり。

しかし、日本代表もゴールを許さない!
まず1トップを除いたフィールドプレーヤー3人(田中章仁、加藤健人、川村怜または山口修一)が互いの距離を近くして10番や7番の選手の前に立ちはだかる。晴眼者であるGK佐藤大介の「スライド!」という指示で3人が陣形を保ったままスライドし、シュートコースを作らせない。1人が抜かれても次の選手がシュートブロック。ブロック出来ない時は守護神佐藤大介が好セーブを連発。
連動した守備と各々の選手の集中力が本当に素晴らしかった。
20分過ぎ、ブラジル9番の選手の強烈な第2PKも佐藤大介がはじき出す。
そんな状況の中でも落合啓士が2度ほどブラジルゴールに迫る場面もあった。
結局前半はブラジルに得点を許さず0対0で折り返した。

連動した守備で前半25分をブラジルを無得点に抑えるということは魚住監督のプラン通りだったようで、上々の前半だった。
またGKの佐藤選手は、以前見た時よりかなり反応やポジショニングが進化している印象だった。試合後に少しだけ話を聞いたが「フィールドプレーヤーの3人が自分の指示で連動して動いてくれてシュートコースを限定してくれたからこそ止めることが出来ました」というように語ってくれた。多少謙遜もあるのかなとも思ったが、GKは何よりシュートを打たせないことが1番だ。
でも本当に素晴らしい好守の連続だった。

後半は多くの選手に経験を積ませるというコンセプトもあったようで2失点してしまったが、ある意味仕方がないことだった。
交代出場したGKの選手には強烈な経験になったであろう。
失点の場面も「ポジショニングが甘いな」と思った瞬間にゴールを許してしまった。
とは言えスーパーゴールだったけど。
前半から連続して出場していたDFの田中章仁選手などにとっては、とても悔しい失点となった。
しかし後半のアディショナルタイムに新鋭川村怜選手がゴール正面、多少距離がある位置から左足を振り抜きゴール!日本も1点を奪った。
GKの前で1バウンドする形になり相手GKも取りにくかったようだ。
ブラインドサッカーのGKは狭いゴールエリアから出ることが出来ないので、ああいったシュートは効果的なのかな。
そんなこんなの50分、ブラインドサッカーの面白さを充分堪能。

その後15分だけのエキシビションマッチもあり出番のなかった選手も“ブラジル”を体験、密度の濃い時が流れた。

ブラジルチームが見れて本当に良かった!面白かった!

見逃した方は23日と24日にも横浜でブラジル代表が見れます。
見ないと損です。
詳しくは
http://fiatcalcio.b-soccer.jp/

一昨年の12月パラリンピック予選でブランインドサッカー日本代表はぎりぎりのところで敗退。その時の悔しい思いをバネに、チーム全体が進化、底上げされているように思えた。
また選手たちがアジアで勝ち上がるのみならず世界を見据えている点が、とても頼もしく見えた。


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