【リポート2.過去の野望】
思い起こせば、現在の家に引っ越してくる前。ぼくは同じ埼玉の片田舎で、分譲団地暮らしをしておりました。当時の住宅都市整備公団が、戸建住宅と中層団地を組み合わせて中規模(ニュータウンみたいな規模が大規模だとすると、そこまでではないという意味)に開発して分譲した、団地の方を買って住んでいたんですね。
そこでは、団地の組合役員という役回りがありましたが、10年ちょっと住んでいてその役が回ってくることは、ありませんでした。中層団地は、1建物につきおよそ平均50戸程度の世帯数があり、各建物から抽選で3名程度が役員に選出される勘定でしたので、ざっと考えて15年強に1度程度の確率。10年以上そこに住んでいたわけですから、運が良い(?)といえば、良かったのかも知れません。
一方である時期ぼくは、「団地組合役員に、立候補しちゃおうかしらん?」などと、大胆なことを思っていた時期もあったのです。少し長くなりますが、説明をいたします。
それは、当時上の娘が幼稚園児だった頃のことです。娘の運動会を、奥さんに命じられ朝早くから並んで何とかキープした場所で、観戦していました。10月初めの秋まだ暑い炎天下、暑いし前の人の頭が邪魔! みたいな、ちょっとイラついた気分です。
そんな状況下でふと見やると、場所取りなんかせず、しかし競技を観るには絶好の位置で、テントの下の日陰で炎天をものともせず、涼しげに眺めているヤカラが居るではありませんか?! そうです、来賓席で招かれた町の議会議員が、ホケッとぼくの娘達の運動会を眺めているのです。
「そうか。娘が幼稚園児だったり、小学生のうちに議員になっとけば、何の苦労もなく特等席で、運動会を観れるのか…」と、短絡的にそんなことを思ったわけです。そしてその思考は、すぐに「町の議会議員って、他にどんな利権があるのだろう?」という、疑問に発展。
知事とか、国会議員とか、大臣とかの利権については、新聞ネタ等で何となく想像がつく気がします。しかし、市町村レベルの議会議員となると、ちょっと想像がつかない。「どのような美味しい利権があるのだろう?」 「そういえば新聞の地方版で読んだ記憶では、この地域は3千票くらいで議会議員に当選するようだったよな…」
「いっそ議員になってどんな利権があるのか、身をもって体験しちゃうという手もあるのでは…。最低でも運動会はテントで観れるわけだし」「3千票程度なら、そんなに可能性ないわけでもなく、票取れるのでは?」と、調子に乗って考えはじめ、「そのためには、なにからはじめよう?」と思いめぐらし、「そうだ、団地の組合役員になって、まずは団地票から固めていくのが王道だよな」と、なったわけです。
しかし、<娘の運動会をテント下の特等席で観たい>という、極めて短絡的な発想から巡らした思考でしたので、その後このプランはすっかり忘れていました。それから時は過ぎ、冬になり、年も明けたある土曜の昼。奥さんに「明日10時から、団地役員の抽選会だから出席頼むね」と、命じられました。
「うん?団地役員?何かひっかかるものがあるな…」と記憶を探すと、ようやく思いだしました。「そうだ、次の役員に立候補でもしようかと考えてたんだ!」。しかし時すでに遅し。立候補者募集の期日はとうに過ぎ、だあれも立候補しないので、いつものごとく抽選ね。という抽選日が、次の日だったというわけです。
娘の運動会を眺めながら考えた野望をすっかり思い出し、翌日、「こうなったら、抽選に当たるのを祈るしかない」と、奥さんの手前口にはださずに密やかに胸に秘め、当時幼稚園児の娘を伴い、団地自治会室にむかうぼくでありました。
当って欲しいなんて思っていたのは、集合している奥さん連中や、そもそも抽選会に来ることさえ嫌々で、奥さんに命じられて仕方なくきた大勢の世帯主のなかで、たった1人、ぼくだけだったに違いありません。
しかし、嫌だと思うと当り、当って欲しいと思うと当らないのが、抽選の常であります。すでに役員をこなした世帯は抽選対象とはならず、当ってもおかしくない確率だったのですが、見事に外れてガッカリ。早々に野望は絶たれてしまいました。
そんな失望状況の中で、抽選会場の自治会室を後にして、掲示板をふと見やると、「ソフトボールチームの仲間募集!!」の、手書きのポスターが貼ってあるではありませんか。「おや、最近運動不足だから、地元のソフトボールチームで運動をやるのもいいな」「うん?チームに入って人望を集め、チームの連合かなんかの票をとりまとめて、晴れて議員に、という手もあるよな」。
その時からこのソフトボールチームに入り、引っ越した現在でもこのチームで、もう10年以上もソフトボールを続けています。チームメイトには未だこの動機は言ってないのですが、実はこんなすっとぼけた動機で入り、でもソフトボールを楽しむことがメインになってしまったのですね、ハハハ…。
―――
次回「リポート3.自治会総会模様」につづく…。やっと、自治会活動のリポートに移っていくわけですが。
思い起こせば、現在の家に引っ越してくる前。ぼくは同じ埼玉の片田舎で、分譲団地暮らしをしておりました。当時の住宅都市整備公団が、戸建住宅と中層団地を組み合わせて中規模(ニュータウンみたいな規模が大規模だとすると、そこまでではないという意味)に開発して分譲した、団地の方を買って住んでいたんですね。
そこでは、団地の組合役員という役回りがありましたが、10年ちょっと住んでいてその役が回ってくることは、ありませんでした。中層団地は、1建物につきおよそ平均50戸程度の世帯数があり、各建物から抽選で3名程度が役員に選出される勘定でしたので、ざっと考えて15年強に1度程度の確率。10年以上そこに住んでいたわけですから、運が良い(?)といえば、良かったのかも知れません。
一方である時期ぼくは、「団地組合役員に、立候補しちゃおうかしらん?」などと、大胆なことを思っていた時期もあったのです。少し長くなりますが、説明をいたします。
それは、当時上の娘が幼稚園児だった頃のことです。娘の運動会を、奥さんに命じられ朝早くから並んで何とかキープした場所で、観戦していました。10月初めの秋まだ暑い炎天下、暑いし前の人の頭が邪魔! みたいな、ちょっとイラついた気分です。
そんな状況下でふと見やると、場所取りなんかせず、しかし競技を観るには絶好の位置で、テントの下の日陰で炎天をものともせず、涼しげに眺めているヤカラが居るではありませんか?! そうです、来賓席で招かれた町の議会議員が、ホケッとぼくの娘達の運動会を眺めているのです。
「そうか。娘が幼稚園児だったり、小学生のうちに議員になっとけば、何の苦労もなく特等席で、運動会を観れるのか…」と、短絡的にそんなことを思ったわけです。そしてその思考は、すぐに「町の議会議員って、他にどんな利権があるのだろう?」という、疑問に発展。
知事とか、国会議員とか、大臣とかの利権については、新聞ネタ等で何となく想像がつく気がします。しかし、市町村レベルの議会議員となると、ちょっと想像がつかない。「どのような美味しい利権があるのだろう?」 「そういえば新聞の地方版で読んだ記憶では、この地域は3千票くらいで議会議員に当選するようだったよな…」
「いっそ議員になってどんな利権があるのか、身をもって体験しちゃうという手もあるのでは…。最低でも運動会はテントで観れるわけだし」「3千票程度なら、そんなに可能性ないわけでもなく、票取れるのでは?」と、調子に乗って考えはじめ、「そのためには、なにからはじめよう?」と思いめぐらし、「そうだ、団地の組合役員になって、まずは団地票から固めていくのが王道だよな」と、なったわけです。
しかし、<娘の運動会をテント下の特等席で観たい>という、極めて短絡的な発想から巡らした思考でしたので、その後このプランはすっかり忘れていました。それから時は過ぎ、冬になり、年も明けたある土曜の昼。奥さんに「明日10時から、団地役員の抽選会だから出席頼むね」と、命じられました。
「うん?団地役員?何かひっかかるものがあるな…」と記憶を探すと、ようやく思いだしました。「そうだ、次の役員に立候補でもしようかと考えてたんだ!」。しかし時すでに遅し。立候補者募集の期日はとうに過ぎ、だあれも立候補しないので、いつものごとく抽選ね。という抽選日が、次の日だったというわけです。
娘の運動会を眺めながら考えた野望をすっかり思い出し、翌日、「こうなったら、抽選に当たるのを祈るしかない」と、奥さんの手前口にはださずに密やかに胸に秘め、当時幼稚園児の娘を伴い、団地自治会室にむかうぼくでありました。
当って欲しいなんて思っていたのは、集合している奥さん連中や、そもそも抽選会に来ることさえ嫌々で、奥さんに命じられて仕方なくきた大勢の世帯主のなかで、たった1人、ぼくだけだったに違いありません。
しかし、嫌だと思うと当り、当って欲しいと思うと当らないのが、抽選の常であります。すでに役員をこなした世帯は抽選対象とはならず、当ってもおかしくない確率だったのですが、見事に外れてガッカリ。早々に野望は絶たれてしまいました。
そんな失望状況の中で、抽選会場の自治会室を後にして、掲示板をふと見やると、「ソフトボールチームの仲間募集!!」の、手書きのポスターが貼ってあるではありませんか。「おや、最近運動不足だから、地元のソフトボールチームで運動をやるのもいいな」「うん?チームに入って人望を集め、チームの連合かなんかの票をとりまとめて、晴れて議員に、という手もあるよな」。
その時からこのソフトボールチームに入り、引っ越した現在でもこのチームで、もう10年以上もソフトボールを続けています。チームメイトには未だこの動機は言ってないのですが、実はこんなすっとぼけた動機で入り、でもソフトボールを楽しむことがメインになってしまったのですね、ハハハ…。
―――
次回「リポート3.自治会総会模様」につづく…。やっと、自治会活動のリポートに移っていくわけですが。