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ところミュージアム大三島の「ママと私」


美術作品は野外作品など一部を除き、写真で紹介できないのが残念だ。平山郁夫美術館を訪ねた同じ日、TOKORO MUSEUM OMISHIMAを訪ねた。「ところミュージアム大三島」だ。
瀬戸内海大三島の斜面に建てられた美術館だ。現代彫刻をおさめた美術館だが、斜面に沿って建つ建物自体見る価値がある。玄関ドアは、「キッシング・ドア」“Kissing Doors”」と名付けられた作品になっている。(写真参考)
展示されている作品は、どれも優れたものだが、私が一番気に入ったのは、玄関ドアから入ると正面に展示してある「ママと私」と名付けられた作品だ。マリソール作だ。マリソールは、20世紀彫刻の中で重要な位置を占める女性彫刻家の一人だそうだ。作品を観ればうなづける。マリソールという名前は知らなかったが、美術関連図書に掲載されていた作品は、ずっと頭の中に残っていた。
マリソールにとって「ママ」はどういう存在だったのか。
ベンチに座るママの頭は黒い四角。その上には脳みそと思しき物体。日焼けしたような黒い顔の中で目に入ってくるのは真っ赤な唇と白い歯。胸から足までは四角いピンク。お腹はぐっとえぐられ、太ももにあたる部分にそっと添えられた両手。そして足の前にはきちんとした赤い靴。その「ママ」の向って右側には、少女の「私」。黄色いパラソルを「ママ」の上に掲げ持ち、ベンチの上に立っている。胴体は、緩やかなカーブを持つ台形の薄いピンク。パラソルは、表面は黄色で裏はブルーで、全体が勾玉的模様でくりぬかれている。
「ママ」の社会的位置と「私」に対する権威を象徴しているのだろうか。どうあれ、刺激的な作品だった。

ところミュージアム大三島
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