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2級建築士ブログ受験講座 「No.37」

2019-02-12 10:51:01 | ビジネス・教育学習
◇世間を騒がせている「レオパレス21」ですが、建築士受験講座の視点で整理していきます。
◇2019年2月7日付の国交省プレスリリースより、今回の事件を整理しますと、
 ⅰ)界壁の仕様が設計図書と異なる。
 ⅱ)外壁について、1時間準耐火構造、45分準耐火構造、防火構造の仕様が設計図書と異なる。
 ⅲ)天井について、1時間準耐火構造の床とするための仕様が設計図書と異なる。
◇用途が「共同住宅」というだけで、延べ面積、階数の情報がありません。
◇防火・準防火地域内外であるか否かの情報もありません。
◇従って、不明な条件設定を推測しながら、建築士試験に必要な知識として整理していきます。

◇ポイント①:界壁の仕様が設計図書と異なる(違反がある)。
 ・法30条に長屋、共同住宅の各戸の界壁の規定(遮音性能)があります。
 ・界壁は、小屋裏又は天井裏に達するものとしなければならないと規定されています。
 ・かつ、令114条において、長屋、共同住宅の界壁の防火性能についても規定されています。
 ・界壁は準耐火構造とし、小屋裏又は天井裏まで達せしめなければならないとしています。
 ・テレビ情報で小屋裏の写真が掲載され、違反していることを示唆しています。
 ・また法30条では、令22条の3で定める界壁の遮音性能の構造方法を大臣が定めるとしています。
 ・その大臣が定めた構造方法が、S45年建設省告示1827号(遮音性能)で示されています。
 ・設計図書はこの告示に基づく仕様だが、現場では「発泡ウレタン充填」となっているとのこと。
 ・戸建住宅では、断熱性が優れているということで良く使われている仕様のようです。
 ・でも告示1827号では、遮音性能を考え「グラスウールorロックウール」としています。
 ・勿論、防火性能の視点からも「グラスウールorロックウール」であるべきだと思います。

◇ポイント②:外壁の仕様が設計図書と異なる(違反がある)。
 ・1時間準耐、45分準耐、防火構造違反ということなので、3階建以下だと想定できます。
 ・延べ面積不明で詳細不明ですが、共同住宅ですので、原則、法27条の防火規制を受けます。
 ・法27条1項二号(法別表第1)では、2階部分が300㎡以上であれば、対象となります。
 ・3階建であれば、条件付き(告示255号参照)ですが、1時間準耐火建築物の要求です。
 ・2階建以下であれば、45分準耐火建築物の要求です。
 ・勿論、4階建以上、若しくは告示255号を満たさない3階建であれば、耐火建築物の要求です。
 ・防火地域内であれば、100㎡を超えれば耐火要求なので該当しないと思います(法61条)。
 ・準防火地域内であれば、500㎡を超えれば準耐火建築物が要求されてきます(法62条1項)。
 ・準耐火建築物は法2条九号の三に基づき、基本は外壁等の主要構造部は準耐火構造要求です。
 ・同号のロでは、令109条の3に従い外壁耐火構造か構造不燃の場合の外壁防火構造要求です。
 ・また、同地域内で3階建の建築物であれば、令136条の2に適合する仕様が求められています。
 ・令136条の2では、外壁の防火構造、屋内側の防火被覆等が要求されています。
 ・木造建築物であれば、法62条2項で、延焼線上の外壁には防火構造が要求されてきます。

◇ポイント③:天井について、1時間準耐火構造の床とするための仕様が設計図書と異なる。
 ・法36条に、第2章の単体規定の補足技術基準を政令で定めるとしています。
 ・その中に、令112条の防火区画の規定があります。
 ・天井に「1時間準耐火構造の床」を要求するのは、令112条の防火区画の要求だと思います。
 ・令112条2項で45分準耐火建築物に500㎡毎の1時間準耐火構造の防火区画を要求しています。
 ・同3項では、1時間準耐火建築物に1,000㎡毎の1時間準耐火構造の防火区画の要求です。
 ・いずれも「1時間準耐」の防火区画要求で、開口部は「特定防火設備」を要求しています。
 ・共同住宅ですので、500㎡を超える物件が多いのではないかと推察しています。

◇以上、詳細情報がない中で、建築士試験という視点で法令の条項整理をしてみました。
◇2級建築士試験ということを鑑みれば、ポイント③は面積区画ですので過去出題例はありません。
◇ただ、H30年9月に、2級建築士試験の出題事例が多い「旧法24条」が廃止されています。
◇それに伴い、防火区画問題の種類を増やす意味で、今後の出題は充分考えられると思います。
◇2級建築士試験対策ということでは、非常に参考になる事件です。

2019年2月12日 by SHRS(シュルズ)「一級建築士、建築基準適合判定資格者」
コメント
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