暮らす、生きる、繋がる、持続可能な未来

人も社会も、成長と負荷を切り離して、落としどころを考える。

2級建築士ブログ受験講座 「No.38」

2019-02-13 15:20:15 | ビジネス・教育学習
◇「レオパレス21」の事件から、引き続き、建築士受験講座の視点で整理していきます。
◇前回(昨日)は、国交省のプレスリリースから問題点を法制度との照合で整理しました。
◇違反事項は、施工された仕様が設計図書と異なるということです。
◇そこで、設計図書は適法であるとの前提で、違反に対する罰則規定の整理をしていきます。
◇勿論、2級建築士試験の受験対策の範疇での整理とさせていただきます。

◇ポイント①:建築基準法の「罰則」法98条、法99条の該当事項整理
 ・法98条1項の罰則:3年以下の懲役又は30万円以下の罰金
 ・今回の法98条1項該当者:設計図書と異なる建築材料、建築物の部分を引き渡した工事施工者
 ・外壁の1時間準耐、45分準耐、防火構造違反なので、法27条、法62条等の違反と思います。
 ・法27条(特殊建築物の防火規制)の違反の場合、法98条1項二号に該当します。
 ・法61条から法64条(防火・準防火地域の防火規制)違反の場合、法99条1項八号に該当します。
 ・その場合、法99条1項により、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金となります。
 ・天井については、1時間準耐火構造の床の仕様違反ということなので、令112条違反と思います。
 ・令112条は、法36条に基づく政令(技術基準)ですので、法36条違反ということになります。
 ・法36条(防火壁、防火区画の設置及び構造)の違反の場合、法98条1項三号に該当します。
 ・従って、・法98条1項の罰則:3年以下の懲役又は30万円以下の罰金となります。

◇ポイント②:注意したい民法との関連
 ・今回の契約当事者が良く分からないので、あくまで推測で記述します。
 ・確認申請書を見ないと、建築主がオーナーなのか建売住宅のような建設業者なのか不明です。
 ・その範疇で推察すると、オーナーが債務不履行を問うことは難しいのではと思っています。
 ・むしろ、建築基準法違反による不法行為責任(民法709条)の方が感覚的にフィットします。
 ・不法行為責任であれば、当事者でなくとも第三者の立場で追及できます。
 ・ただ、不法行為責任の場合、因果関係の立証に、多大な労力を要するのが欠点のようです。
 ・これらは法曹界の話なので、深入りすると火傷をしますので、このくらいにしておきます。
 ・いずれにしても、責任の明確化が必要ですし、民事訴訟という手に負えない分野になります。
 ・我々は、建築士法の知識を深め、責任と権限の範疇で捉える、いい機会でもあると思います。

◇ポイント③:今回の事件とは異なるが注意したい罰則規定
 ・法98条1項二号に該当する、法20条1項一号から三号の建築物の構造規定違反。
 ・具体的には、構造計算を必要とするRC造や鉄骨造建築物の構造規定違反です。
 ・法98条ですので、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金の対象です。
 ・また、法20条四号の建築物の構造規定違反(木造の軸組み計算規定等)。
 ・具体的には、木造2階建ての住宅などの、柱の小径計算を必要とする建築物。(令43条)
 ・及び、軸組みの強度計算を必要とする建築物などです。(令46条)
 ・法99条1項八号に該当しますので、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金となります。
 ・加えて、令19条の居室の採光計算や、天井高・床高、階段の構造等の違反にも罰則があります。
 ・法101条1項四号による、法36条(居室の採光計算、天井高・床高、階段の構造等)の違反です。
 ・法101条1項に、100万円以下の罰金と記されています。

◇以上、建築士試験という視点で法令の整理を試みてみました。

2019年2月13日 by SHRS(シュルズ)「一級建築士、建築基準適合判定資格者」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする