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平成30年度二級建築士試験「建築法規」解説 Vol.4

2018-09-27 09:36:37 | ビジネス・教育学習
◇今週は、平成30年度の二級建築士試験「建築法規」毎日、5問づつ解説してきます。
◇巷の二級建築士試験解説とは、一味違うものを狙います。
◇二級建築士受験講座での講師キャリアを活かし、受験生の反応を加味し体と思います。


〔No. 16〕は図形問題で、共同住宅における容積率の算定の基礎となる延べ面積を問う問題です。過去の問題でも、類似問題がありますが、戸建て住宅での問題でした。異なるのは、共同住宅という用途では、共用部分の廊下等で、法52条3項に、緩和条項がある事です。問題には親切に、「各階の床面積には、それぞれ共用の廊下及び階段の用に供する部分の床面積15㎡を含む。」という注意書きがありますので、これでピンときた人も多いと思っています。
 正答2
 容積率算定の床面積に算入しないもの
 ・法52条3項かっこ書き:共同住宅の共用の廊下・階段(設問では15㎡)
 ・同・後段かっこ書き:住宅の用途に供する部分の1/3
 算定対象の床面積:地階(165-15)+1階(165-15)+2階(90-15)=375㎡
 算入しない地下部分の住宅の床面積:375×1/3=125㎡
 ∴容積率算定の基礎となる延べ面積
 (算定対象)375㎡-(未算入地下部分)125㎡=250㎡ 

〔No. 17〕は図形問題で、図形上のA点における地盤面からの建築物の高さの最高限度を求める問題です。設問の形態としては、定番問題です。第一種住居地域ですので、北側斜線制限は無く、道路斜線制限で検討すればいい問題です。また、敷地高低差もなく、建物後退緩和と2面道路による緩和条項の確認で済む、ここ2~3年の傾向ですが、斜線制限問題としては、比較的易しい問題dと思います。
 正答5
 道路斜線制限:法56条1項一号、別表第3
 建物後退距離の緩和規定:法56条2項(設問では1m)
 2以上の前面道路の場合の緩和規定:令132条
 ・東側の最大幅員道路からのA点位置(2+6=8m):6m×2=12mかつ35m以内にある。
 ・北側の道路斜線の道路幅員は最大の6mとして算定する。
 ・A点の高さ算定の位置:(建物緩和)1m+(幅員最大)6m+(敷地境界から)2m=9m
 道路斜線制限適用距離:別表第3
 ・(道路容積率)6×4/10=24/10>20/10(都市計画容積率) ⇒ 20m・・・OK
 ∴A点の高さの最高限度:(1+6+2)×1.25=11.25m 

〔No. 18〕は、珍しく、日影規制の条項を問う設問が並びました。また、設問1に、令2条2項に定義する「地盤面」と、日影規制の法別表第4で定義する「平均地盤面」が、異なる事への理解を求める、結構、常連の設問が入っています。
 正答3
 1.正しい。法56条の2、別表第4の表の最下欄枠内、令2条1項七号、同六号
 2.正しい。法56条の2第3項、令135条の12
 3.誤り。法56条の2第2項:2以上の建築物がある場合、1の建築物とみなして算定する。
 4.正しい。法56条の2、別表第4(い)欄
 5.正しい。法56条の2、別表第4(1)項(ろ)欄

〔No. 19〕は、防火地域、準防火地域規制に絡む問題です。通常は、法27条の特殊建築物に絡む設問が出るのですが、今回は、患者の収容施設を有しない診療所ということで、法61条関連だけで回答できる問題になっています。これは推測の域を出ませんが、「特定避難時間倒壊等防止建築物」という、法規制適用の難解な建築物を、試験問題に絡ませない配慮ではないかと、ついつい、邪推してしまうのです。来年度施行予定の改正法で、仕様規定でしか建築確認が出来ない現状を反映し、法別表第1が整理され、変更により受験生は大変かと思いますが、「特定避難時間倒壊等防止建築物」を、さほど意識しないでよくなるのは、いい事ではないかと思っています。来年の平成31年度試験で合格しておかないと、再来年は防火関連規定の改正が多いので、来年は、必ず合格しておいた方がいいと思います。
 正答5
 1.正しい。法62条2項:高さ2m以下のものは、不燃材料以外のものでもよい。
 2.正しい。法62条1項、法27条:準耐火建築物が要求されるのは、準防火地域内で500㎡を超えるものであり、患者の収容施設を有しない診療所
       は、法27条の特殊建築物の対象ではないので、耐火・準耐火建築物以外のものとすることができる。
 3.正しい。法67条、法61条:規制地域の内外に渡る場合には、厳しい方の規制となり、100㎡を超えるものは、耐火建築物としなければならない。
 4.正しい。法66条:屋上に設けるものは、その高さに関係なく、不燃材料でつくり、又は覆わなければならない。
 5.誤り。法65条:耐火構造のものは境界線に沿って設けることができるが、準耐火構造のものは、境界線に接して設けることができない。

〔No. 20〕は例年通り、雑則を含めての「よろず問題」です。特段、出題傾向の特徴は無く、法令集と格闘して、調べてくださいという問題です。
 正答4
 1.正しい。法87条、法6条1項一号:100㎡を超える建築物の特殊建築物への用途変更は、確認申請が必要。
 2.正しい。施行規則1条の3第一号イかっこ書き:表1の(は)項に掲げる図書は、用途変更の申請では、除かれている。
 3.正しい。法87条1項
 4.誤り。法48条、別表第2(は)項:平家建90㎡の自動車車庫は、第一種中高層住居専用地域内に建築できるが、工場は建築できないので、用途変更
      をすることはできない。
 5.正しい。法99条1項一号かっこ書き、法87条

◇なお、問題文と正答表が公益財団法人建築教育普及センターのH.P.にて公開されています。
◇過去3年分について公開され、ダウンロード可能です。
◇是非、問題文を参照しながら勉強してください。

「建築計画と建築法規」の問題
https://www.jaeic.or.jp/shiken/2k/2k-mondai.files/2k-mondai-h30-gakka1_2.pdf
「正答表」
https://www.jaeic.or.jp/shiken/2k/2k-mondai.files/2k-h30-gakkagoukakukijun.pdf

2018年9月27日 by SHRS(シュルズ)「一級建築士、建築基準適合判定資格者」

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