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2020年度・二級建築士受験ブログ講座「建築法規」Vol.12:道路と接道関係の規定

2020-05-04 08:35:12 | ビジネス・教育学習

◇今回から、第3章(都市計画等における・・・)の、通称ですが集団規定への取り組みです。
◇法41条の2に、この章の規定は都市計画区域及び準都市計画区域内に限り、適用するとしています。
◇出題傾向からは、法42条1項の道路定義が、この分野での重要事項である事が理解できます。
◇加えて、法43条の接道義務を絡ませる設問が重要なポイントであることも理解できます。
◇また、今年の問題予測で注目すべきは、一昨年の法改正事項「法43条2項の接道基準緩和」です。
◇出題傾向においても、2年おきというサイクルに合致してきますので、要注意事項です。
◇道路内建築制限(法44条)も重要事項ですが、昨年出題されたばかりなので、少々、距離を置きます。
◇あと気になる事項は、法42条1項5号に基づく、私道の築造基準(令144条の4)です。

◇重要事項①:道路の定義(法42条1項)
 一号:道路法による道路
 二号:都市計画法等の法律に基づく道路(工事完了後は、道路法に基づく道路になってゆく。)
 三号:建築基準法の集団規定適用の際に、現存する4m以上の道路(公道、私道等)
 四号:都市計画法等の法律の基づく計画道路で、2年以内に執行予定で特定行政庁が指定したもの
 五号:申請に基づき特定行政庁が指定する、4m以上の私道など

◇重要事項②:もう一つ大切な道路の定義が「法42条2項道路」
 ・近い将来に、道路幅4mを確保するための「通称:みなし道路境界線」の設定がある。
 ・道路の両側が宅地の場合は、道路中心線より2m後退した位置とする。
 ・道路の反対側に「川」などがある場合は、その境界線より宅地側に4m後退した位置とする。
 ・敷地面積計算では誤答は少ないが、斜線制限計算で「みなし道路境界線」を忘れた誤答が多い。
 ・みなし道路境界線は、法律上の道路境界線として設定されていることへの注意が必要。

◇重要事項③:接道できる道路の定義の緩和(法43条2項の接道基準緩和)
 ・法43条:建築物の敷地は、道路に2m以上接しなければならない。
   (ただし書き除外規定)一号:自動車専用道路
              二号:地区計画区域内の道路(予定道路指定がある)
 ・この規定で、原則、農道、水路などは、建築基準法上の道路ではない。
 ・従来の許可制度(法43条2項二号)に加えて、同一号において、一昨年、認定制度が新設された。
   ※条文の一号で「認めるもの」とあるのが「認定制度」
    条文の二号で「許可したもの」とあるのが「許可制度」
 ・第一号:特定行政庁が道路と認めるもの(原則、道路ではない道において)
   ⇒敷地が幅員4m以上の省令(施行規則10条の3第1項)の基準に適合する道に2m以上接する
   ⇒利用者が少数で用途、規模が省令(施行規則10条の3第3項)の基準に適合する建築物
 ・規則10条の3第1項 1項(法43条2項一号の省令で定める道の基準)
   一号:農道その他これに類する公共の用に供する道 
   二号:令144条の4第1項各号に掲げる基準(私道の基準)に適合する道
 ・規則10条の3第1項 2項(法43条2項第一号の省令で定める建築物の基準)
   ⇒延べ面積200㎡以内の一戸建住宅(同一敷地内に2以上の建築物がある場合は、その合計。)

◇改正法対応の想定問題(法43条に関する問題)
 次の記述は、建築基準法上、正しいか誤っているか。
 (問)建築基準法上の道路に該当しない幅員6mの農道のみに2m以上接する敷地における、延べ面積150㎡の一戸建て住宅については、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上
  支障がないと認める場合には建築することができる。
 (正しい)法43条2項一号、規則10条の3第1項一号、同3項:4m以上の農道に2m以上接する200㎡以内の一戸建住宅については、省令(規則)の認定基準に適合し、建築できる。(認定制度)

◇重要事項④:昨年出題されたばかりで確率は低いが、道路内建築制限(法44条)は重要事項。
 ・法42条1項四号:2年以内に事業執行予定として特定行政庁が指定したものが道路。
 ・法44条1項:原則、道路内又は道路に突き出して建築することはできない。
 ・法44条ただし書き除外規定:道路内又は道路に突き出して建築できるもの。
   (各号で、建築審査会の同意等の有無の違いがある事に注意する。)
  一号:地盤面下に設ける建築物
  二号:公衆便所、巡査派出所、その他公益上必要な建築物
     (建築審査会の同意を得て、特定行政庁が許可したもの)
  三号:地区計画区域内の自動車専用道路、特定高架道路等の上空、路面化に設ける建築物で、地区計画等の内容に適合すると特定行政庁が認めたもの。
  四号:公共用歩廊、道路上空に設ける渡り廊下等
     (建築審査会の同意を得て、特定行政庁が許可したもの)
 ・法68条の7第4項(地区計画等による予定道路)の指定がされた場合
   ⇒原則、2年以内の事業執行予定がなければ、道路ではなく、法43条の接道義務の適用はない。
   ⇒しかし、2年以内の事業執行予定の有無にかかわらず、法44条の規定は適用される。
   ⇒従って、建築基準法上、接道していない敷地だが、道路内建築制限は適用される。

◇重要事項⑤:壁面線による建築制限(法47条)
 ・出題確率は低いが、意外な落とし穴の設問と推察しています。
 ・建築物の壁、柱、高さ2mを超える門、塀は、壁面線を超えて建築できない。
 ・しかし、屋根とか庇については、壁面線を超えることができるという解釈の規定になっているのです。

◇法47条に関する過去問(H26)の設問から
 次の記述は、建築基準法上、正しいか誤っているか。
 (問)建築物の屋根は、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可した場合でなければ、壁面線を越えて建築することができない。
 (誤り)法47条:壁面線による建築制限の規定は、建築物の壁、柱、高さ2mを超える門、塀を対象としており、屋根、庇等は規制の対象としていない。

◇重要事項⑥:私道の築造基準(令144条の4)
 ・H26年の出題以来、影を潜めているが、数値基準を含んでいるので、要注意事項と心得ます。
 ・その中での重要事項は、第1項一号ニ:幅員が6m以上の場合、袋路状道路とできる。
 ・すなわち、袋路状道路の基準の規制を受けないということです。

◇令144条の4(私道の築造基準)に関する過去問(R1一級)の設問から
 都市計画区域内の道路等に関する次の記述は、建築基準法上、正しいか誤っているか。
 (問)土地を建築物の敷地として利用するため袋路状道路を築造する場合、特定行政庁からその位置の指定を受けるためには、その幅員を6m以上とし、かつ、延長を35m以下としなければ
  ならない。
 (誤り) 法42条1項五号、令144条の4第1項一号ニ:幅員を6m以上とすれば、袋路状道路とすることができるので、「かつ、延長を35m以下としなければならない」という記述は、誤り。

2020年5月4日 by SHRS(シュルズ)一級建築士、建築基準適合判定資格者

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