暮らす、生きる、繋がる、持続可能な未来

人も社会も、成長と負荷を切り離して、落としどころを考える。

SHRSの二級建築士受験講座「建築法規」2024年度 ⑪

2024-02-25 09:38:19 | ビジネス・教育学習

◇今回は、防火区画(令112条)、界壁・防火間仕切壁(令114条)の規定について整理していきます。
◇二級では、面積区画・高層区画については、過去も今後も無いと推察しますので飛ばして整理します。

◇防火区画①:防火区画の規定で重要な用語の定義(⇒各防火設備の技術的基準は令112条19項参照)
 ・1時間準耐火構造(令112条2項):主要構造部等に「1時間の非損傷性・遮熱性・遮炎性」を要求
 ・特定防火設備(令112条1項):令109条に規定する防火設備で「遮炎性能1時間」を要求
 ・防火設備(令109条、令109条の2):「遮炎性能20分」を要求している標準的防火設備
 ・10分間防火設備(令112条12項ただし書):令109条規定の防火設備で「遮炎性能10分」でもよい
 ・強化天井(令112条4項):下方からの火災時加熱に対してその上方への延焼を有効に防止できるもの

◇防火区画②:(通称)竪穴区画の規定(令112条11項)
 ・主要構造部を準耐火構造とした3階以上の居室と階段等の縦方向に貫通する空間とを防火上区画する。
  (1)準耐火構造(45分以上の非損傷性・遮熱性・遮炎性)の床、壁で区画する
  (2)開口部分は防火設備(法2条九号の二 ロに規定する20分遮炎性能)で区画する
  (3) 縦方向に貫通する空間の例:階段、昇降機の昇降路、ダクトスペース etc.
 ・令112条11項ただし書きにおいて、緩和規定が2つある(竪穴区画を不要とする部分)。
  (1)避難階の直上階、直下階のみに通ずる吹き抜けで、内装を下地・仕上げ共に不燃材料とした場合
  (2)階数3以下で、200㎡以内の、戸建住宅及び共同住宅内のメゾネット住戸の内部階段部分

◇防火区画③:小規模建築物における竪穴区画の規定(通称)準竪穴区画(令112条12項、同13項)
 ・法27条による特殊建築物の防火規制から外れる、小規模な特殊建築物を規制する簡易的竪穴区画
 ・法27条の規定から外れた「階数が3で延べ面積が200㎡未満の特殊建築物」が対象
  (1)上記の規模で、3階の用途が法別表第1(い)欄(2)項に該当するもの(警報設備設置が条件)
  (2)具体例として、病院、診療所(患者収容施設があるもの)、児童福祉施設(入所者の寝室があるもの)
 ・スプリンクラー等の消火設備が設けられたものは、防火間仕切り壁と10分間遮炎防火設備でもよい
 ・スプリンクラー等の消火設備のないものは、防火間仕切り壁と20分間遮炎防火設備とする
 ・また、「ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設(通所施設のみの場合)、etc.」については、間仕切壁と防火戸の設置でもよいとしている。

◇防火区画④:(通称)異種用途区画の規定(令112条18項)
 ・法27条に規定する特殊建築物の当該用途の部分と、それ以外の用途の部分を防火上区画する。
 ・区画する床、壁には、1時間準耐火構造(1時間の非損傷性・遮熱性・遮炎性)を要求
 ・区画する開口部には、特定防火設備(遮炎性能1時間)を要求
 ・ただし書きで、告示250号に基づき、警報設備の設置等による緩和措置もある。
  ⇒具体例としてホテル1階にあるホテル併設店舗とホテル用途部分との異種用途区画を要しない。

◇防火区画⑤:防火区画に接する外形の規定(令112条16項)
 ・防火区画を構成する床に接する外壁における防火措置について、次のいずれかとする。
  (1)その接する部分を含み幅90㎝以上の部分を準耐火構造とする
  (2)外壁面から50㎝以上突出した準耐火構造のひさし等で防火上有効に遮ることとする

◇防火区画⑥:配管等の防火区画貫通部分の措置の規定(令112条20項、令129条2の4第七号イ)
 ・準耐火構造の防火区画を貫通する場合、防火区画との隙間をモルタルその他の不燃材料で埋めること。
 ・管の貫通部分及び当該貫通部分からそれぞれ両側に1m以内の距離にある部分を不燃材料で造ること。
 ・区画貫通部分の措置の規定については、令112条だけでなく、令113条、令114条にも適用する。

◇防火区画⑦:界壁、防火間仕切り壁の規定(令114条1項、同2項)
 ・令114条1項の界壁、同2項の防火上主要な間仕切壁は、同等の扱いとしている。
 ・原則、小屋裏、天井裏に達せしめる必要があるが、次の場合には緩和される。
  (1)強化天井(令112条4項一号に定義)とした場合。
  (2)スプリンクラー設備等を設置した場合。
 ・強化天井とした場合であっても、界壁等については、準耐火構造としなければならない。
 ・自動スプリンクラー等を設置を設置した場合には、界壁等を準耐火構造としなくてもよいとしている。
 ・いずれも、界壁等を小屋裏又は天井裏に達せしめる必要はないとして、緩和している。

◇防火区画⑧:建築面積が300㎡を超える木造の建築物の小屋組の規定(令114条3項)
 ・建築面積が300㎡を超える建築物の小屋組が木造の場合の規制措置
  (1)小屋裏の直下の天井の全部を強化天井とする
  (2)桁行間隔12m以内ごとに小屋裏に準耐火構造の隔壁を設ける。
   ⇒準耐火構造の隔壁で区画されている小屋裏の部分で、当該部分の直下の天井が強化天井であるものを除くとしている。
 ・過去の試験問題では、「建築面積が300㎡を超える」という部分を問う設問が散見されるので注意!
   ⇒すなわち、「建築面積が300㎡」のものは、規制の対象としていない。

2024年2月25日 by SHRS(シュルズ) 一級建築士、建築基準適合判定資格者
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする