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SHRSの二級建築士受験講座「建築法規」2024年度 ⑩

2024-02-23 09:15:58 | ビジネス・教育学習

◇防火壁規定(法26条)は正答での出題も少ないですが、簡単な内容ですので、把握しておきたい事項です。
◇建築物の防火規制は、木造等の大規模建築物は法21条で、特殊建築物は、法27条で規制します。
◇特に、法27条の「耐火建築物等としなければならない特殊建築物」の規定は、重要です。
◇単独の出題としては、R1年だけですが、H30法改正事項でもあり、他の規制とも関連する重要事項です。
◇ポイントは、出題内容から別表第1を読み込む事ができようにすることです。

◇防火規制①:木造建築物等への防火壁・防火床による区画(法26条、令113条)
 ・原則、延べ面積が1,000㎡を超える木造建築物に、防火上有効な防火壁又は防火床による区画を規定。
 ・垂直区画の防火壁だけでなく、水平区画の防火床も認めている(例えば1階と2階を防火床で区画)。
 ・木造建築物であっても、耐火・準耐火建築物は、規制から除外している。(法26条ただし書き一号)
 ・法26条に規定する防火壁・防火床の技術的基準は、政令(令113条)に規定しています。
   (1)耐火構造とする。(令113条1項一号)
   (2)防火壁・防火床に設ける、許容される開口部の寸法は、それぞれ2.5m以下とする。(同・四号)
 ・令113条を補足する防火壁・防火床の構造方法を、告示197号で規定しています。
   (1)木造建築物においては、無筋コンクリート造、組積造としない。(告示197号第1第一号)
   (2)防火壁は自立構造とし、防火床は支持する耐力壁・柱・はりを耐火構造とする。(同・二号、三号)

◇防火規制②:大規模建築物(木造等)の主要構造部への防火規制(法21条)
 ・第1項において、規制する建築物の規模を規定しています。
   一号:地階を除く階数が4以上である建築物
   二号:高さが16mを超える建築物
   三号:別表第1(い)欄(5)項又は(6)項の特殊建築物で高さ13mを超えるもの
 ・第1項の政令で、主要構造部に必要とされる技術基準を定めている。
   (1)令109条の5第一号イ:通常火災終了時間に基づく準耐火構造(性能規定)
    (表の枠内で、壁・床・柱・はりは最低45分以上、屋根・階段は30分以上⇒準耐火構造の基準)
   (2)同・二号:令107条の基準(仕様規定)⇒耐火構造の要求(法2条七号の耐火構造の技術的基準)
 ・第2項で延べ面積が3,000㎡を超える建築物の主要構造部に、耐火構造or火災時倒壊防止構造を要求
    かつ、床面積を、それぞれ3,000㎡以内に区画することを要求している。
 ・第1項ただし書きで、建築物の高さ以上の空地を有する場合は、規制適用外。(令109条の6)

◇防火規制の規定③:耐火建築物等としなければならない対象建築物を把握する。(法27条、別表第1)
 ・耐火建築物等とは(定義)、
   (1)主要構造部に、特定避難時間に基づく倒壊・延焼防止性能の構造、若しくは耐火構造のもの   
   (2)延焼の恐れのある部分等(令110条の2に規定)の外壁開口部に、防火設備を設けたもの
 ・法27条1項一号:3階以上を別表第1(い)欄(1)項から(4)項までの用途の特殊建築物とするもの
 ・法27条1項二号:同様に2階以下の場合は、その部分の床面積が同表(は)欄の各項に該当するもの
    ただし、同表(1)項の場合にあっては、客席を対象として、規制を適用する
    同表(2)項及び(4)項の場合にあっては、2階がその面積であるものに限り、規制を適用する
    かつ、病院及び診療所についてはその部分に患者の収容施設がある場合に限定している
 ・法27条1項三号:同様に、その用途に供する部分の床面積の合計が3,000㎡以上のものを規制する
 ・法27条1項四号:劇場、映画館又は演芸場の用途に供するものは、主階が1階にないものが規制対象

◇防火規制の規定④:小規模なものへの緩和規定(法27条1項一号と四号のかっこ書き)
 ・法27条1項一号の建築物で、原則、3階建、延べ面積が200㎡未満のものを、規制対象外とする
   ⇒令110条の4:令101条の5に基づく警報設備を設けた場合、耐火建築物等としなくてもよいもの
   (1)病院、診療所(患者の収容施設があるものの限る)、
   (2)ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設等(就寝利用があるものに限定)
 ・主階が1階にない劇場、映画館又は演芸場で、階数が3以下で延べ面積が200㎡未満のもの

◇防火規制の規定⑤:耐火建築物(法2条九号の二)としなければならないもの(法27条2項、別表第1)
 ・別表第一(い)欄(5)項に掲げる用途(倉庫等)に供するもので、
   その用途が3階以上の部分の床面積の合計が同表(は)欄(5)項(200㎡以上)に該当するもの
 ・別表第一(い)欄(6)項に掲げる用途(自動車車庫等)に供するもので、(ろ)欄(6)項に掲げる階(3階以上の階)を、その用途に供するもの

◇防火規制の規定⑥:耐火建築物、又は準耐火建築物としなければならないもの(法27条3項、別表第1)
 ・別表第1(い)欄(5)項又は(6)項に掲げる用途に供するもので、その用途に供する部分の床面積の合計が同表(に)欄の当該各項に該当するもの
   (1)倉庫等(5項)で、その用途に供する床面積の合計が、1,500㎡以上のもの
   (2)自動車車庫等(6項)で、その用途に供する床面積の合計が、150㎡以上のもの

◇防火規制の規定⑦:「別表第1」と関連する条項は、表(別表第1)の上部に記述されている
 ・法6条:建築確認申請
 ・法21条:大規模建築物(木造等)の主要構造部への防火規制
 ・法27条:特殊建築物への防火規制
 ・法28条:居室の採光・換気
 ・法35条~法35条の3:特殊建築物等の避難・消化に関する規定&内装制限に関する規制
 ・法90条の3:工事中の安全措置に関する届出の規定
 ・これらの規定における特殊建築物等への規制事項は「別表第1」と関連するということになる。
 ・なお、「別表第1」の表は、国交省H.P.法令検索データを元に、見易く整理しております。

2024年2月23日 by SHRS(シュルズ) 一級建築士、建築基準適合判定資格者
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