財務論(3):正しい資本政策とは?
創業時の資本金から、企業の成長にしたがって資本の増強が必要である。その増資のタイミングと額をどうするかという計画が、資本政策と呼ばれるものである。
私自身は、10数年前の創業時には、この言葉の真の意味が理解できていなかったために、その後の増資については、結果としては「行き当たりばったり」式となってしまった。
もちろん、計画どおり物事が進むというのは、ベンチャーの立上げのみならず、ビジネスの世界では極めて稀ではあるものの、やはり事前に計画を作ることで、増資実施における意思決定の基準が明確になる。
やはり、何事も「出たとこ勝負」は良くないものである。
では、増資における意思決定で大事なことは何か。もちろん必要額を決めることは最初であるが、それらを誰からどの程度の出資をいただくかというのは、極めて重要なポイントである。
一口に株主といっても、多種多様である。個人もあれば、企業もあれば、企業でも事業会社もあれば、投資専門のベンチャーキャピタル(VC)もある。さらに、VCにも、銀行系もあれば、証券系もあれば、保険系もあれば、独立系もあるように、それぞれに投資スタンスと期待利益が異なってくる。
投資家によっては、出資した以上は、経営に積極的に口を出すことを要求するところもあれば、まったく逆で、金は出すが口は出さないと最初から宣言しているところもある。
どちらの投資家がいいのかとは、一概には言えない。経営のプロとして、取締役等を派遣いただき、ある時点から経営参画をいただくことも、ベンチャーの場合有効な場合もある。また、そのことが経営上の大きな制約となって、ベンチャーとしての生命力を失ってしまうリスクないことはない。
以上のような諸々のことを総合的に勘案して、最終的に誰からどれほど出資いただくかを決めなくてはいけない。
「ビジネスには正解がない」という格言の通り、資本政策にも絶対的に正しいというものはない。ただ、明らかに間違った判断をしている場合もある。その場合は、社長自身が資本政策に無知であることが多いが、一般的には創業を何度も経験している社長というのは、極めて稀であり、無知であることは恥ずかしいことではない。
医療の世界のセカンドオピニオンではないが、できれば複数の経験者から話を聞き、適切なアドバイスをもらうということが、大きな失敗をしない唯一の手段であろう。
(次回に続く)
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