一人想うこと :  想うままに… 気ままに… 日々徒然に…

『もう一人の自分』という小説を“けん あうる”のペンネームで出版しました。ぜひ読んでみてください。

市場の話 其の三

2005-11-26 22:24:02 | 日記・エッセイ・コラム
 最近のご主人様は市場に行くと、「いつもの年と違うな」と思うことがある。
11月も終わりだと言うのに、いまだに北海道近海でブリやワラサが揚がっている。
真イカ(スルメイカ)も安定した価格で入荷している。
その反面、本来なら水揚げが多くなるはずのタラ、スケソウダラ、ハタハタ等の冬の魚が少ない。
タラ類が少ないから、当然真ダチ、助ダチ、真ダラ子、助子の入荷も極わずかで相場も高い。
どうやら海水温が平年より高く、今の時期に寄って来るはずの冬の魚がなかなか寄って来ないらしい。
噂によると、越前クラゲもまだいるようだ。
 いつもの年ならサケが終わると、タラ、ハタハタが入ってくる。
魚が好きなご主人様はサケの時期は生筋子をバラしてイクラにし、醤油漬にして食している。
絶品だ。
サケが終わると真ダラの卵と白子、つまり真ダラ子と真ダチだ。
真ダラ子は煮付けやタラ子合えも良いが、バラして醤油漬も良い。
真ダチは湯引きしてポン酢も良いが、ご主人様の好物は天ぷらだ。
それも天つゆではなく、揚げたてを塩コショウでいただく。
酒の肴に最高だ。
ハタハタは抱卵したメスは煮付け。オスは塩焼きが良い。
こうやってその時期の魚を楽しみにしてきた。
だが今年はどうもおかしい。
気のせいか市場内も活気がなく、仲買も元気がない。
 車で市内を走ると雪が全くない。
たしかに朝晩は冷え込むのだが日中はそこそこ暖かく、二週間程前に初雪が降ったきり、雪らしい雪は降っていない。
家に帰り、庭のサクランボを見ると、いまだに葉が付いていた。
それも紅葉もせずに。
今年はこのまま葉が落ちそうだ。
 ひょっとすると地球温暖化という問題が、身近なところにも迫って来てるんじゃないか。
ご主人様は、ふとそう思ってしまった。


コメント
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