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イチョウの下のよもやま話

埼玉県深谷市にある
吉祥寺の住職のブログ

四人の妻 その1

2013年06月18日 | 日々之法話
一般のご法要での法話として考えたものです。



ただ今は、謹んで〇〇様の〇回忌のご法要を
させていただきました。

早いもので、故人がご逝去されてから 既に〇年、
ご当家の様子も 色々 お変わりになった事でしょう。



本日のように、皆様が 一堂に会する機会は
そうそうないと存じます。

これも 故人のお導きによるものです。

このひと時を 有意義に過ごす事も
〇〇様のお供養になる事だと思います。





さて、皆様が 日頃 一番大切にしているものは
何でしょうか。

仕事、ご主人、家屋敷、オモチャ、
色々あるでしょう。

思い出、優しさ、ご縁、自然など ロマンチックで高邁な事を
思い描いた方もいるでしょうし、

箪笥の置くのへそくり、愛人などと
不埒なものが頭に浮かんだ方も
この中にいるかもしれません。



では、私達が 一番大切にすべきものは何か?

仏典をもとに、多少の脚色を加えて、
ある物語をお話してみたいと 思います。





昔 インドの紅という国に 宰相がいました。

宰相というのは 王様の補佐官、大臣の事です。

この宰相には 四人の奥さんがいました。

『大臣のくせに 愛人がいるの』と怒らないで下さい。

その頃のインドは 一夫多妻制、
どうか 女性のみなさん、その辺の歴史をご理解いただき、
このお話を続ける事を お許しください。





第一夫人は、
宰相の幼なじみで 
心から愛して結婚した女性です。

宰相は 仕事のない時は いつも彼女の部屋を訪れ、
彼女の望む事は 何でもかなえてやりました。



第二夫人は、
宰相が町を視察していた時に見かけた美しい女性で、

既に他の若者と婚約していたにもかかわらず、
争って自分の奥さんにしてしまったという女性です。

一週間に一度は 彼女の部屋を訪れ、
「お前は本当にきれいだなぁ」と称賛していました。



第三夫人は、
宰相の両親の勧めでお見合い結婚した女性です。

両親に気に入られた嫁なので、
しかたなく 一ヶ月に一度 彼女の部屋を訪れ、

そのたびに「部屋の床の色変えたいの」とか
「隣の奥さんは いつも派手な服を着ているのよ」とか、
宰相にとっては どうでもいいような愚痴や噂話を
聞かされていました。

正直な所、彼は、
できれば 彼女の所には行きたくないと思っていました。



第四夫人は、
第一夫人の侍女だった女性で、
心から宰相を尊敬していました。

宰相の方は 特に彼女を好きだったわけではないのですが、
「いつもお側でお仕えしたいのです」
という彼女の願いに応えて 第四夫人にしました。

しかし、彼女は 部屋を与えられるでもなく、
依然として 侍女としての仕事をしながら、
それでも一生懸命 宰相に仕えていたのです。



                     つづきます



タイトルを「一番大切な事」から「四人の妻」に変えました。