私の尊敬する方波見ドクターのエッセイ
先日の道新に載っていたので
リライトしました。
「うちのおおばあちゃんがいっしょに100まで展覧会に出ました」
知り合いの看護師さんがこう云って、100歳以上の道民10人を撮影した
展覧会の写真集を見せてくれた。
おおばあちゃんの名前は平井コヨさん。
明治42年生まれの106歳。いまなお台所仕事などをしてるという。
写真の風貌には気品がただよい、世紀を超えた年輪を刻まなければ
得られない美しい顔つきに、私は魅せられた。
家が貧しかったコヨさんは9歳で奉公に出され、遊ぶ時間もなく学校
にも行けなかった。でも一生懸命に働いた。
いまはひ孫の孫まで入れると数十名の大家族になっているそうだ。
この大家族はコヨさんが大好き。おおばあちゃんを囲んでは、何
かにつけ団欒の集いをするそうだ。看護師さんが、こう言っていた。
「人間というのは、すばらしいですね。おおばあちゃんを見ていると
そう思います。106歳の手術を成功させたお医者さんもすばらしい。
医療の進歩も大切ですね。看護師としての仕事の励みになっていま
す」
展覧会の写真集「でんごんばん」に、「未来は過去の中にある」と
いう言葉があった。
「過去」をないがしろにした「現在」から、人間らしさを大切にする
「未来」は生まれてこない。心豊かな「老い」という未来は、何かに
ひたむきな「青春」という過去が紡ぎ出す。
それには平和が大切だ。