夏の間は閉めていた寝室
冬は寒いので居間の暖かい空気を入れるために
開けている。
トトにとっては未知の世界
最近寝室のベットの上で寝ていることが多い
お気に入りの様子・・・
おかちゃんボクは眠いのニァー
邪魔しないでニャー
夏の間は閉めていた寝室
冬は寒いので居間の暖かい空気を入れるために
開けている。
トトにとっては未知の世界
最近寝室のベットの上で寝ていることが多い
お気に入りの様子・・・
おかちゃんボクは眠いのニァー
邪魔しないでニャー
見るともなく茫と眺めていたら、中から若い二人連れの娘が出てきた。
一人は白いセーターの上からオレンジのカーデガンを羽織り、一人はざっくりとしたコーヒー色
のトックリに赤のマフラ―を巻いている。二人とも黒のスラックスだ。
手には布地の大きな買い物袋を下げている。
面立ちは違うが、あやはすぐに姉妹だと思った。
道を開けたあやの前を通り過ぎた二人が、立ち止まってふり返った。
年上のカーデガンの娘が、まじまじとあやを見て言った。
「失礼ですが、もしかして影山さんではありませんか」
返事を待たずに見返す視線に畳みかける。
「あやさんでしょう」
あやの顔に意識が戻った。
「え、まさか清子ちゃん。いや清子ちゃんだ。だったらあなたは千恵ちゃん」
あやは瞳を一杯に見開いて、マフラーの娘を見た。
意識のはずれでちょっとまずいなと思った。
二人の顔に同時に驚きと笑いが弾けた。
「私、清子!」
「あやお姉ちゃんだ」
千恵が恐る恐る言った。
三人ともその後の言葉が出てこない。
ただ茫然と弾けた笑顔のまま、見詰め合っている。
10年振りの再会は、互いに遠く去った時をたぐり寄せ、残る面影を探し合うことから始まった。