伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

田舎暮らしの日々とガーデニング 時々ニャンコと

小説を発信中

  
  
  
  

  

ジャコシカ198

2021-06-16 16:45:24 | ジャコシカ・・・小説

 あやがちゃかす。

 

 「私は深く静かに、ヒラメを待ちましょう」清子が淡淡という。

 

 「お姉ちゃんが言うと、本当にそうなりそうだから不思議だわ」

 

 港が見えた突端、皆が有終の美を目指して張り切り出した。

 

 そんな皆のやる気が海の底に伝わったのか、早速千恵の指先に反応があった。

 

 「やったね、トゲトゲお嬢さん」

 

 あやが楽しそうに声をかけて覗きこんだ。

 

 青く澄んだ水底からは、あやの期待を裏切って、白く滲(にじ)んだハンカチが、ひらひらと舞いながら上がって来た。

 

 「残念でした。イシガレイお先に。私何でもイケますから」

 

 千恵が勝ち誇った声を上げた。

 

 「がっかりさせるわね」

 

 清子までのり始める。

 

 それからの船上は、たて続けのアタリで、喚声と跳ねる魚の音で、第二陣のお祭り騒ぎになった。

 

 高志はまた自分の仕掛けは放っておいて、アンカーを打つ間ももどかし気に、皆の世話係に追わ

 

れ始めた。

 

 今度のポイントは根から離れた、完全な砂場とみえて、カレイ類一色になった。

 

 イシガレイ、マガレイ、スナガレイ、クロガレイ、北の海のカレイ類は実に豊富だ。

 

 特に春先は産卵のため、これ等のカレイは岸の浅場に寄ってくる。

 

 それも型が良く、卵を抱えて膨れ上がっている。春先は岸からの投げ釣りでも狙える、絶好の釣

 

りシーズンなのだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする