四人は慎重に足場を確かめながら、顔を蕗の葉の中に埋めて、柔らかそうな白くて太いものを選
ぶのに集中した。
樹々の足下は蕗の葉で埋めつくされている。
こんなに良い場所では、量を採ることに関心はなくなる。
できるだけ柔らかそうな中心部を、間引くように採っていく。
時々顔を上げては腰を伸ばし、ついでに誰が何処にいるか確認したり、声を掛け合ったりする。
リツクはたちまち膨らんでいく。
高志がもうこんなものでいいかと顔を上げた時、誰かが「あっ!」と叫び、続いて藪を踏みしだ
く音がした。
「どうした!」高志の呼びかけと同時に清子の「千恵!」と叫ぶ声が上がる。
「大丈夫かい」
斜面を下りながらのあやの声も続く。
蕗の葉をかき分けて近付くと、千恵はさして皆から離れていない樹の根株に腰を落として片脚を
投げ出し、もう一方の脚首を掴んでいた。
幸い滑落ではなかったが、どうやらどこかを痛めて動けないでいる。
「大丈夫、大丈夫」集まった皆に笑いながら言ったが、その顔はすぐに歪んだ。
「どうしたのよ」
清子は鋭く言って妹を睨んだ。
そんな姉を泣きそうな顔で見上げて言った。
「滑って足首捻挫したみたい」