伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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ジャコシカ217

2023-07-12 12:11:25 | ジャコシカ・・・小説

 ひどい人だということは判ったけれど、それだけではなくて、もっと話したいと思う人になった

 

と思う。

 

 私の方はそう言うことで、和美さんの方はどうなるの。

 

 返事は書くの。会いには行かないの」

 

 「あやさんはさすがに、めまぐるしい仕事をしてきた人間だ。とてもせっかちだ。

 

 だがわしは一つのことを考えるのに、長い時間がかかる人間なのだ。

 

 だから当分は何もしない。多分できない。

 

 今さら償いなんてできるわけもないし、取り返しなんかつかない。生きていると言えることすら

 

心苦しく憚られる。

 

 それに和美は返事を求めてはいない。

 

 彼女が求めているのは、この手紙をわしが読むということだけだと思う。

 

 返事がなければ間違いなくわしの手に届き、わしが読んだと思うだろう。

 

 だから返事を書かないのが、一番良い返事なんだと、わしは都合良く考えているのさ。

 

 本当のところは先ほども話したように、どうしたら良いのか、何を書いて良いのか、まるで分か

 

らないだけなんだ。でも、それでいいのさ。それがわしという人間なんだから」 

 

 「その内またひよっこり変わるかも知れない。違う自分が現れるかも知れないしね」

 

 高志が少こし笑いを浮かべて言った。

 

 「うん、分かってくれたがね」

 

 鉄さんは口元で微かに笑みを返して、一升瓶を高志に押しやった。

 

 その瓶を受け取り、初めて自分のコップに注いで一口飲んでから、彼は急に声を明るくして言っ

 

た。


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