伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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ジャコシカ94

2019-01-24 00:20:28 | ジャコシカ・・・小説
 そもそも何仕事であろうが、命令され拘束されひたすら自分を殺して努力してまでやらねばなら

ないことなどあるはずがなかった。

 仕事に対する自分の選択条件を上げるならば、改めて人に教わる必要がなくて、単純で責任のな

いことなのだ。

 いつでも就けていつでも辞められる、それが一番だと考えている。

 その基準で言うならば、板前だのコックだのという仕事は論外、対象外、およそ求めるものの対

極にあるものなのだ。

 迷う必要などなにもなかった。

 店主は残念そうに唸った。

 「僕は皿洗いが好きなんですよ」

 高志の言葉に彼は一瞬、何と応えて良いか分からず顔を見て、そのまま首を振って腰を上げた。

 後でその話しを聞いて、小畑さんは口をへの字に結んで彼を睨んだ。

 「ずうっとこれから先一生、皿洗いをやっていく気かい」

 「先のことは分かりません」

 小畑さんにも即答できた。

 「それはそうだろうね」

 小畑さんも即答した。しかしその顔は不機嫌だった。

 二人の重要人物に、人間的資質に疑念を持たれたようなので、ますます背中を押された気分にな

ったが、やはり迫っている雪の便りは気がかりだった。

 高志にはまだ北海道の、冬の経験がない。

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