「ないね」
「高志さんが羆のお食事になる話し・・・」
「高志さんなら食べでがあると思うがら、その間に私達が逃げられると言ったことでしょう」
あやが急に楽し気に言って笑った。
「そんなこと言われたなあ、そのことかい」
「ええ、ひどいこと言いました。馬鹿なこと、私考えもなしに馬鹿なこと言ってしまう悪い癖が
あるの。だからいつも姉さんと喧嘩になるし、お母さんやお父さんに叱られるのよ。後悔ばっかり
してるの」
「驚いたね。反省するのは悪いことではないけれど、冗談で言ったことまで反省したり謝ってい
たら切りがない。
謝られた方だって驚くよ。いや待てよ、あれは冗談ではなかったんだ、なんて余計な心配をして
しまう。
で、本心だったの」
「違います、違います。そんなこと意地悪なんだから」
「いやあこれで羆さんには二度楽しませて貰いました。それに千恵さんが心根の優しい娘なんだ
って良く分かった」
「ええ、私も新発見だわ」
あやはすっかり楽しそうだ。
「馬鹿にしているでしょう二人して。でも仕方ないわ、実際そうなんだから」
「馬鹿になんてするものですか、私千恵ちゃんとは気が合いそう。殆んど好きになっているわ」
「と言うことで反省会は終わり」