伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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ジャコシカ204

2022-03-04 12:32:30 | ジャコシカ・・・小説

 

 「仮に何も考えない人の場合、その人の人生にはどんな意味があるのだろう。それと、どんな未

 

来が待っているのだろう」

 

 「意味については私には解らないの。ただ未来については、あまりいいことは考えにくいわね。

 

どちらかと言えば野たれ死に、でもまあ運のいい人っているのだから、案外いい暮らしをしていた

 

り、大金持ちに成っているなんてことだってあるかも知れない。

 

 いずれにしても真っ当な生き方だとは思わないわ。

 

 私達の人生って、好むと好まざるとに拘わらず、一日一日の努力の積み重ねでしょう。

 

 それを否定したら何も残らない。

 

 私はそう考える」、

 

 言い切った言葉に、自分でも意外なほどの力が入っているのに気付いた清子は、思わず千恵の反

 

応を見た。

 

 その時妹は、どこか途方に暮れた眼差しを窓の外に向けていた。

 

 「ところでお前、今日はいつもと違わないかい」

 

 残ったコーヒーを傾け、カップを唇から離さないままに、姉は妹を見詰めた。

 

 やがてゆっくりとコーヒーを置いてから言った。

 

 「お前もしかして、高志さんのことを考えていないかい」

 

 千恵は窓の外に向けた視線を戻さないままで言った。

 

 「少こしね」

 

 「あの時の言葉ね」

 


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