退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

幸福な世界

2015-03-05 06:19:59 | 韓で遊ぶ


1006個のコイン

坂が急な町内、その坂の一番上の家には貧しい人が住んでいました。
社会福祉士の私が、その粗末な戸を叩いた時、家の中から出てきた人は、火傷で顔が半分ゆがんでいる女の人でした。
私はしばし当惑しましたが、気持ちを取り直して中に入って行きました。2坪ぐらいあるでしょうか。臭くて狭い部屋には彼女と幼い娘が暮らしていました。
「幼い頃に家が火事になりました。父と私だけがやっと助かりました。」
火事の後、傷だらけになった父親は、酒で月日を送り、ややもすると殴ったといいます。
「うあう、、、」
失望に陥った彼女は、そんな父親を見て本当によく泣きました。
彼女の苦しみを抱えてくれたのは、目の見えない夫でした。ですが幸福は、長くは続きませんでした。夫が亡くなって生計が苦しくなったところに火傷を負った顔でできることといえば物乞いだけでした。
悲しい人、、、相談をしいている間、彼女はとめどなく涙を流しました。生活保証金が出るので少しだけ待ってください、という言葉を残して帰ろうとしたら、彼女は、たんすの奥から何かを取り出し私に渡しました。それは意外にもコインがいっぱい入った袋でした。
「自分に約束をしたことがあります。物乞いをして1000ウォン札を貰ったら生活費に使って、500ウォン貨を貰ったら視力を失っていく娘の手術費の使う、100ウォン貨を貰ったら自分よりも苦しく暮らす人を助けるために使おうと、、、いいことに使ってください。」
そのお金を受け取ってくれると気持ちが楽になる、という言葉に仕方なくそのコインの袋を貰って帰りました。袋の中には全部で1006枚の100ウォン貨が入っていました。
1006枚の垢のついたコイン。それは金持ちの億万のお金よりも尊いお金だったのでした。
コメント
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