退屈しないように シニアの暮らし

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さて何をしようか

幸福な世界 2

2015-03-29 05:52:00 | 韓で遊ぶ


彼女の指定席

姉は大規模アパート団地に住んでいます。
入り口から歩いて10分ぐらいのところにある姉の家。その周辺に地下鉄が通り、駅の近いところの住民には、悩みの種がひとつ生じました。出勤時間になると、隣のアパートの住民たちが入り口まで車で来て、どこでもかまわず止めて置いて行ってしまうために、アパートの住民たちの間に声高に争いが起こるようになりました。
「対策を立てなければならない。対策を立てましょう。」
駐車スペースを奪われた住民たちは、我慢できずに棟別に駐車禁止の警告状を作り、取締まり班を決めて巡回取締りまでしましたが、無断駐車に関する争いが絶えることはありませんでした。
「お前たちは、何の権利でこんなものを貼り付けるんだ。」
「こいつ、どこだと思っているんだ。」
ほんの何分か歩くことが面倒で、車を他人のアパートの前に駐車する人たちも問題ですが、同じ団地の人同士であまりにもせちがなく薄情な感じがしました。
何日か前に姉の家に遊びに行き駐車スペースを探していた私は、何回か回って玄関のすぐ前のロイヤルボックスが空いているのを見つけました。
「わ、、一番いい場所だわ。」
何か拾い物をしたような気持ちで早く車を止めようとしたら、ベランダから見ていた姉があたふたと走って下りてきました。
「ちょっと、ここはだめ。ここは持ち主がいるの。」
「何ですって。持ち主がいる。ここだけ誰かが買ったの。」
「何も言わないで早く車を動かしなさい。」
その場に名前が書いてあるわけでもないのに、姉はいきなり車を移動しろと叱りました。やっと空いた場所を見つけて車を止めてブツブツ言いながら戻ってきた私は、その空間に車が一台悠々と入って行くのを見ることになりました。
「お、あの車、何よ。」
納得がいかないでいた私は、その姿を見て怒りがこみ上げてきました。車からは一人の子供の母親が降りていました。
「さあ、降りなきゃ。」
実は、毎日、脳性まひの息子を登下校させる3階のおばさんのために、隣人たちがいつからか、玄関に一番近いところを、彼女の指定席にして明けておくようになったということでした。
車から降りた子供の母親が、姉にうれしそうに挨拶をしました。
姉もうれしそうに挨拶をしました。
「ここは、あのおばさんの指定席なの。」
「あ、私はまた、、、前もって言ってくれないと。」
駐車スペースのために争って中傷して、、、戦争を繰り広げている都市で、本当にまれに見る情ではないですか。
コメント
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