**タージ・マハルの街**vol.1
関連映画:『その名にちなんで』(2006)
その⑤につづき
いよいよツアーのハイライト(?)、タージ・マハルへ。
サリー屋さんでサリーに着替えてバスに乗り、10分くらいだったかでバスから降ろされる。「はい、ここから電気自動車に乗り換えていただきます」とアラームさん。
排ガスでタージ・マハルが汚れないようにということらしい。何年か前に、タージ・マハルが黄ばんでしまったというニュースを新聞で読んだ記憶があるが、私たちが訪れる数日前に、修復作業が全て終わったんだそうな。修復作業を見るのも面白そうだから、終わる前でも良かったけど、折角ならキレイなタージ・マハルを見る方が良いのかしらん。
添乗員のR子さんも一緒に撮った全員の貴重な1枚
このような、電気自動車というよりは、カートに乗り換えて、人並みを縫うように走り、入り口のすぐ近くまで移動。歩いても別に大して問題ない距離だったけど。
カートを降りて入り口へ歩いて向かう
チケット窓口(アラームさんが買いに行ってくれる)
ここでもまた、フマユーン廟のときのようなコインを渡される。入り口では結構厳重なセキュリティチェックがある。大きい荷物は持っては入れないと事前に言われていたので、貴重品以外はバスに置いてきた。貴重品のみの手荷物も、一応調べられる。
赤いテントの奥の人が固まっているところでセキュリティチェックを受ける
そしていよいよ見えてきたのが、メインゲート。
上の方に並んでいる“ぎぼし”状のものは“チャトリ”というらしく、このアングルからでないと前後で22あるチャトリ全部は写せないよ! とアラームさんに言われ、頑張って撮影。辛うじて22コ、映っている。
メインゲート正面
ゲート上部の象嵌細工
そして、このメインゲートをくぐると、、、
ジャーン! 現れたのは、あの麗しい姿のタージ・マハル。それにしても、すごい人、人、、、、。このゲートから廟までたどりつくのに(まぁ、写真撮ったり説明受けたりしながらだったからだけど)歩いて楽に30分はかかったと思う。
廟に入る手前の所で足カバーを履いて、いざ中へ。中は一切撮影禁止。
中は、しかし、狭いし割と素っ気なくて、象嵌細工がそこここにあって光を当てるとほのかに石が光るとか説明を受け、ものの数分でまた外へ出てくる。
まぁ、とにかく美しい大理石の廟をご覧あれ。
この塔のような高いのは、ミナレットというのだけど、実は垂直に建っていないのだ。よく見るとたしかに廟の反対側の方にほんの少しだけ傾いている。これは、地震などで倒れたりしたときに廟を壊さないためのものだと、アラームさんの説明有り。確か、前日のクトゥブ・ミナールでも同じような説明があった。ちなみに、ミナレットとは、礼拝告知用の塔。ミナレットを持つ霊廟は、このタージ・マハルが最初だと言われているらしい。
ムガル王朝第5代皇帝シャー・ジャハーンが亡くなった王妃ムムターズ・マハルのために立てた廟。それにしても、なんとまあ巨大で麗しいお墓。正直なところ、大理石がこんなに美しいとは初めて知ってオドロキだった。ツヤがあって、美しい女性の肌のことを「大理石のような……」と例えるのを小説だか映画だかで見聞きしたことがあるように思うが、まあ、本当に冷たくて艶のある美しさにうっとりしてしまう。
関連映画に挙げた『その名にちなんで』は、ジュンパ・ラヒリ著の同名小説が原作の映画で、原作がとても良かったので映画も見たのだが、原作にはないシーンが映画にはあって、その舞台がこのタージ・マハル。アメリカ育ちの主人公のゴーゴリが、両親の故国インドに来て、このタージ・マハルを訪れるというシーン。インドにあまり好感を抱けていない様子だったゴーゴリが、このタージ・マハルに強い感銘を受ける。原作にはやや及ばない映画だったけど、このタージ・マハルのシーンは非常に印象的だった。
とにかく、メインゲートをくぐって何だかんだで2時間近くはいたと思うのだけど、やはりサリーを着た東洋人が固まっているとちょっと目に付くのか、やたらと「写真撮らせて」という人が多く、撮影時間だけで半分くらいとられていたのでは? というくらい。
勤続30年の休暇を利用していらしていたカラミさん(激辛が大好きな方だったので)が、「ターバンのイケメンと写真を撮りたい!!」とこの日の朝からバスの中で宣言されており、私たちも、行き交うターバンの男性を漏れなくチェック。「あ、あの人、イケメンじゃない!?」とか、おばさん集団はこういうときにパワーを発揮してしまう。……とはいえ、カラミさんのお眼鏡にかなうターバンのイケメンはなかなか現れず、、、。何人かと撮っていたみたいだったけど、成果はあったんだろうか。
余談だけれど、この旅では、あまり、というか全く、イケメンに出会わなかった。男性は皆とってもフレンドリーだったけど。……思えば、インド映画に出てくるインド人の男優でも、イケメンといってパッと浮かんでくる人、いないもんなぁ、、、。三大カーンとか、悪くないけどイケメンかと言われるとビミョーだし。強いて言えば、『ヴィクトリア女王 最期の秘密』(2017年)のアリ・ファザールはイケメンかも。ジュディ・デンチも「彼はハンサムね」と言っていたし。
、、、というわけで、自由時間をとる余裕もなくなり、名残惜しくもタージ・マハルを後にする。
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何だかんだとお昼を過ぎていたので、お腹はぺこぺこ。締め付けられているサリーを着たまま、中華のランチ(写真撮れなかった)。タージ・マハルでかなり歩いたので、みんな結構疲れていて、夕方はアーユルヴェーダだったから「上手く考えてあるスケジュールだよね」などと、みんなこの時点からアーユルヴェーダへの期待が上昇。
あまり時間がなかったのか、慌ただしくランチを食べて、着付けてもらったお店へサリーを着替えに。着せてくれたお姉さんが脱がせてくれ、締め付けから解放されホッとする。もう少し緩くても全然問題なかったと思うのだけど。多分、サリーは本来ゆったりと着やすく動きやすい物なんだと思う。まあ、でも滅多に着る機会はないだろうから良い経験だった。
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この後、当初のスケジュールにはなかったカシミヤ店に立ち寄り。紅茶のお店と同様、一通りカシミヤの説明を聞く。カシミヤにも色々あって、やはり標高の高いところに住んでいるヤギから作った物ほど高価になるらしい。そのお店にあったもので一番高価なものだと、大判ストールで7~10万円ほどするものだった。多分、日本で買ったら1.5倍かそれ以上はするのでは?
私はあんまりストールとか使わないので、ウチの人にと思ってグレーのシンプルなマフラーを買ってみた。5,000円くらい。多分、日本の百貨店とかで買ったら1万円はすると思うが、旅から帰ってきて家でしげしげ眺めていたら、その肌触りの良さといい(スベスベ、ふわふわ)、優しい暖かさといい(じんわり、ほんわり)、モーレツに惜しくなって、どう考えても猫に小判としか思えず、自分のものにしてしまうことにした。マフラーのお土産があるなんて言ってなかったし、ハナからお土産など向こうも期待していないから、私の心変わりなど気付いてもいないのだ、ウチの人は、ムフフ。
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さて、カシミヤ店を後にした一同は、美味しいチャイをいただけるという所へ。ホテルなのか、高級カフェなのか、イマイチ分からなかったけれど、ラウンジに通され、、、
チャイとお菓子が出される。このチャイ、砂糖は入っていなかったんだけど、かなりスパイシーで、のどごしがピリッとする感じ。紅茶屋さんで買ってきた粉末のチャイもスパイシーでやっぱり辛みを後から感じるので、インド本場でのチャイはかなりスパイスの効いているものなんだと知った。日本でも美味しいチャイをインド料理店などで飲んだことがあるけど、こういうスパイシーさは感じたことがなかった気がする。一度、このスパイシーさを知ると、日本でいただくチャイは、ただの甘いシナモンミルクティーに思えて物足りない、、、。
皆、疲れていて、いやが上にもアーユルヴェーダへの期待値が上がりまくる。「ああ、早くマッサージされたい!」とか「アタシ、寝ちゃうかも……!」とか、「シロダーラって頭が凄く気持ちいいんでしょ!」とか、もう、その話題ばかり。
ちなみに、シロダーラとは、オイルを額に垂らして、その後頭をマッサージするもの。日本では、アーユルヴェーダはリラクゼーションの一種と思われているけど、実はインドではれっきとした医学の一分野らしい。シロダーラも医療行為とされ、日本では(法的に)できないものとされているようだ。
まぁ、でもここはインド。本場に来たのだから、オリジナルの伝承医学を経験できるに違いない。きっと、この全身の疲れが癒やされるに違いない。
と、期待に胸を膨らませて、いよいよ、アーユルヴェーダへと向かった一行。……まさか、この後、あんな展開になるなんて、このとき誰が想像していたことだろう、、、。
その⑦につづく