ハマスの暴挙は、その部分だけ切り取れば残虐非道です。
だからゼレンスキー氏は、ハマスをロシアとイランに結び付けて激しく非難しました。またイスラエル絶対支持を表明しました。
それでロシアとイランの国際的非難とウクライナへの支持を拡大する心算であったのであろうと思います。
しかし日記で何回か書きましたがパレスチナ問題に対する認識は、欧米とそれ以外では正反対と言えるほどに違います。イスラム圏では、イスラエルは敵です。
ゼレンスキー氏の言動が何を引き起こしたのか分かると思います。ロシアやイランをハマス(=パレスチナ)とリンクさせてしまえば、イスラエルの味方はパレスチナを支持する国々の敵となります。
イスラム圏ではイスラエルの同類=ウクライナは敵と認識され、イスラム以外の第三世界でもロシア支持が増えると思います。元々第三世界では、パレスチナ支持とまでは行かなくても国連決議の和平案は支持されています。
今回のハマス事件をネタにウクライナ支持を拡大しようとしたゼレンスキー氏の戦略は、完全に逆効果をもたらすと思います。イスラム世界からは敵視され、それ以外の第三世界からは支持されないでしょう。中立の国もウクライナ不支持に変化する可能性が大きいと思います。第三世界に行けば、ヨーロッパの田舎紛争であるウクライナ紛争などどうでもいい事です。
結果として今回のゼレンスキー氏のイスラエル断固支持・ハマス・テロ批判は、ウクライナにより巨大化したブーメランとして返ってくると思います。
それはウクライナの敵であるロシアを正当化し、イランの憎しみを買い、ロシアの絶対支持国である北朝鮮は帝国主義批判をします。
パレスチナの公平な仲介者であるロシアは、ガザ地区の悲劇を心配する世界中の人々の支持を集めると思います。
イランは、完全にウクライナを敵視するでしょうね。ロシアへの軍事援助を控えることはなくなると思います。積極的援助に変化するでしょうね。
アメリカ帝国主義と対立する北朝鮮は、ウクライナをアメリカと同一視するでしょう。ロシアへの武器売却を積極的にすると思いますし、もう始めました。
ブラジルや南アフリカなどの第三世界の大国もロシアに同調してガザの惨劇回避のために行動するでしょう。それは、形を変えたウクライナ批判です。
パレスチナの歴史的な悲劇を、たかがヨーロッパの田舎紛争にすぎないウクライナ紛争において自国(ウクライナ)を有利にするための材料にしようとしたゼレンスキー氏の言動は、パレスチナ問題とウクライナ紛争をリンクさせたために、ウクライナがイスラエルの立場に立ってしまいました。
長々と書いてまとまりがなくなりましたが、要は第三世界やアラブ世界・イスラム世界から見ると、イスラエルもウクライナも同じと言うことです。
ウクライナは、大きく支持ではなく不支持を増やしました。元々ウクライナと敵対関係にあった国々は、ロシアを絶対支持するでしょう。
ゼレンスキー氏が沈黙していた場合と比較するなら、結果は大差と言えると思います。
それがもたらすものは、ウクライナがロシアに勝利することは、もう不可能に近いと言うことです。特にこれまでは控えめだった北朝鮮とイランのロシアへの武器売却が大幅に増えるであろうことは、ほぼ致命的です。ゼレンスキー氏は自分でその状況を作り出してしまいました。
ウクライナを応援して日記を書いていましたから、非常に残念です。しかし、流れはロシア有利に大きく変化してしまいました。
勝てないのなら?残された道は妥協しかありません。
※やや意味不明になってしまったので、もう少し整理してみます。
ウクライナ紛争とパレスチナ問題の二つがあります。この問題において?
加害者は、ロシアとイスラエルです。
被害者は、ウクライナとパレスチナです。
そうすると、ウクライナの主張は?
ウクライナ紛争では、自分は被害者だと主張しています。
これは、見た目その通りです。
しかし、パレスチナ問題では加害者を断固支持しています。本来であれば、被害者の方を支持しないと筋道が通りません。
ウクライナの都合によりパレスチナ問題では加害者を支持しています。自己矛盾を犯しています。これを「ダブル・スタンダード」と言います。
欧米に関して第三世界が、最も嫌うものです。つまりウクライナは、ダブル・スタンダードの側に立っています。この時点でほぼ第三世界からは、嫌われるか拒否されます。
一方でロシアは、ダブル・スタンダードを非難しています。つまり第三世界の側に立っていることになります。
欧米以外の国々は、ダブル・スタンダードを批判するロシアを支持します。
そしてロシアは、それをそれとなく第三世界の国々に耳打ちするでしょう。その通りなのですから、ロシアのささやきは説得力があります。結果、ウクライナは欧米以外の国々の支持を失うという構図です。
第三世界に対する外交に長けているロシアが、これを利用しない訳がありません。第三世界に対するコネクションにおいてもロシアの方が格段に上です。
結果としてウクライナの応援団は、欧米だけになります。それでも武器支援や資金の支援では、十分多いのは確かです。しかし、既に支援疲れが出始めています。
一方でロシアは、第三世界から幅広い支持を受けます。北朝鮮やイランは、堂々とロシアに武器売却をします。中国も風向きを見て民生用を中心にロシアとの取引を増やすと思います。欧米の禁輸は、ほぼ骨抜きになります。
ウクライナ紛争が長引くほどロシアが有利になる構図です。だから、ウクライナはロシアに勝利することは事実上不可能です。