Another Life

ハンドメイドとユルまったりな暮らしのブログ

「鷺と雪」 北村薫

2009-08-26 | 読書
戦前の東京、まだ華族制度があった頃のお話です。
花村家の令嬢英子と専属の運転手ベッキーさんが、
謎を解き明かすミステリー三部作の完結編です。

まず、右の文庫版「街の灯」から読みました。
昭和7年の東京、別宮さんが始めて花村家にやってきた日、
英子はサッカレーの小説「虚栄の市」の主人公にちなんで
彼女をベッキーさんと呼ぶことにしました。
良妻賢母の時代に現れた現代風才女で男装の麗人。
まあ、このベッキーさんのカッコイイこと

さて、直木賞受賞の「鷺と雪」です。
実際にあった失踪事件を元に創作された「不在の父」。
三越のライオンに誰にも見られずに跨ると、
受験に合格すると言う「獅子と地下鉄」。
居ないはずの人が写っている写真の謎を解く
「鷺と雪」の三作からなる本作は
戦争の暗雲が忍び寄る不穏な時代の物語です。

英子とベッキーさんの真相究明は
意外な展開やどんでん返しはありませんが、
綿密な資料と丁寧な言葉の選び方で
この時代の雰囲気を楽しめます。

二部「玻璃の天」は「鷺と雪」と一緒にamazonで注文したけど、
未だ手元に届いていません。在庫切れで増刷中でしょうか?
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