帯津良一著 東洋経済新報社 P116より引用
ISBN978-4-492-04379-0 1400円+税
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無理に「明るく前向き」になる必要はない
私は医者ですから長年、病気になっ
て落ち込む人と、日常的に接してきま
した。たとえばがんになって激しく嘆
き悲しむ人を前に、最初は私も「落ち
こまないで、明るく前向きに頑張りま
しょう」と励ましていました。
実際、患者さんの心を明るく、前向
きになってもらうためにと、心理療法
をとり入れたり、落語を聴いて笑う治
療を試してみたりしたこともあります。
しかしすぐにそれは間違いだったと
気づきました。「明るく前向きに」心
を持ち続けるということ自体、大きな
無理があるのです。そこで気づいたの
は、人間はもともと明るく前向きにで
きていないということです。人間はか
なしくてさびしい存在なのです。それ
は私たちの心の奥底に広がる、揺るぎ
ない固い大地のようなものです。それ
以上沈むことはありません。かなしく、
さびしいことが当たり前なのだから、
何かあって気分が滅入ったとしても、
その状態の自分をありのまま受け止め
ることができます。(後略)
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▼そうなんですね、人間はもともとさ
びしいそしてかなしいものなのです。
それを無理に「明るく、前向きに」と
かいうとなんだか反発したくもなりま
すね。「そんなにガンガン言われなく
ても」とか思ってしまいます。あまり
明るい歌は流行りません。昔から随分
とかなしい歌ばかりです。それが本来
の人間なのでしょう。そして少しでも
いいことがあったら明るくなれます。
心が軽くなります。それ以上沈まない
わけですから。
こめぞう