鎌倉時代の刀身の研摩です。
刀身の曲がり矯正と研摩にてお預りしているお刀です。
綾杉ごころを交えた古風な柾目肌が特徴的で、鑑賞の魅力溢れる一振りです。
本日研ぎを終えて鑑定家の先生に見ていただいたところ、鎌倉初期の大和本国であろうとの見解でした。
重刀候補といっても言い過ぎではない上の出来とのことで、「良いものを見せてもらった」とお礼の言葉まで頂戴しました。
ご依頼者様は居合にお使いになるということでしたが、これには鑑定家の先生も激怒!納品時に、その旨をご依頼者様に説明し、何とか日本の宝として大切に扱って頂けるよう説得しなければなりません。
今年最後の研ぎにて、古名刀を研がせて頂いた出会いに、改めて感謝したいと思います。
刀身の曲がり矯正と研摩にてお預りしているお刀です。
綾杉ごころを交えた古風な柾目肌が特徴的で、鑑賞の魅力溢れる一振りです。
本日研ぎを終えて鑑定家の先生に見ていただいたところ、鎌倉初期の大和本国であろうとの見解でした。
重刀候補といっても言い過ぎではない上の出来とのことで、「良いものを見せてもらった」とお礼の言葉まで頂戴しました。
ご依頼者様は居合にお使いになるということでしたが、これには鑑定家の先生も激怒!納品時に、その旨をご依頼者様に説明し、何とか日本の宝として大切に扱って頂けるよう説得しなければなりません。
今年最後の研ぎにて、古名刀を研がせて頂いた出会いに、改めて感謝したいと思います。
刀剣は全くの素人ですが、最近興味を持ち貴ブログも大変興味深く拝読しております。
さて今回上記記事に「居合に使われることに鑑定家激怒」とありますが、私はこの言葉にとても違和感を覚えました。
たとえが違うのかもしれませんが、ストラディバリウスの名品を「何で演奏会に使うんだ!」と評論家が激怒している、それくらいの違和感です。
バイオリンも刀も、ただ飾っておくのではなく、使ってこその名器ではないでしょうか。その辺をプロの方々がどう思っているのか、非常に興味があります。
刀も素人が杜撰に扱えば曲がったり折れたりすると聞きます。
この依頼主の方がどれだけの腕前か分かりませんが、鑑定家の方がそうしたことを恐れて「激怒した」、と言うことなら分かります。
ご質問いただいた件、拝見いたしました。
ご返信差し上げる前に、ご自身でご理解いただけたご様子ですので、あえてお答えすることは控えさせていただきます。
日本刀という日本の宝は、ご自身が所有しようとも一時的にお預かりし次世代に正しくお伝えするための権利を得ているに過ぎません。著しい消耗の可能性のある使用は、控えることが鉄則になっています。
「一時的にお預かりし次世代に正しくお伝えする」
「著しい消耗の可能性のある使用は控える」
まさに言われる通りかと存じます。
あくまで切れるという機能性を前提に刀の美しさがあるのだろうと思いコメントさせて頂きましたが、切れると分かっている名刀をことさらに試す必要は有りませんものね。
愚問であったことは何卒御容赦下さい。
ありがとうございました。今後の記事も楽しみにしています。
愚問などとんでもございません。
むしろ的を得た非常にすばらしいご質問だと思います。
昨今、素人の方がいたずらした日本刀を、修復でお預かりするケースが急激に増えています。
古美術品は、加工を加えた時点で存在価値を失う可能性があり、過去に戻って作り出すことができないことから、数がドンドン減ってしまっているというのが現状なのです。
使用するという行為と人類の宝を次世代に託すという行為が、相容れない場合もあるかとは存じますが、こと日本刀に関しては道具である以前に武士の魂であり、考古学的価値を有しているため、使用方法が極端に限られています。
また、ご質問などございましたら、お気軽にコメントをお寄せください!ありがとうございました。
この刀は使わず大事にしておりますよ(笑)
あれからとある刀剣商の先生にみて戴きました。
よくある話ですが、その先生の評価では今一で、上研ぎにも消極的な意見でした。
元より価値も判らず惚れ込んで手に入れた一振りなので、他者の意見は「それはそれ」なのですが、価値はどうあれ気に入った刀は気持ちを入れて研いで貰いたく、未だに御返し戴いたまま眺めております(笑)
コメントされておりました方へ補足(蛇足)ですが、居合に使いますと腕に関わらずどうしても棟はヒケます。私は腕も問題ですが。
また、流派によりますが業によっては刀身に添え手します。
古刀は錆びにくいとは云われますが、どうして夏場などは四半時で赤錆が出る事もあり、やはり美術刀剣の観点からは使うべきでは無いでしょう。
しかし武術としての居合においては本身、出来れば実用であった時代の刀でなければ越えられない壁があると、私は考えております。ただの自己欺瞞でもあります。
実用の美の極致にして、実用の役目を終えた藝術の葛藤ですね。
長文失礼致しました。
はじめまして。コメント頂き恐縮です。私の言葉が足らないせいで、あたかも玄さんの腕前が悪いような書き方となってしまい、お気を悪くされたらお許し下さい。
拵師さんの「一時的にお預かりして次世代に正しく伝える」ことも正しいと思いますし、玄さんの「出来れば実用であった時代の刀でなければ越えられない壁」と言うお言葉もわかる気が致します。
ストラディにしても「次世代に正しく」伝えねばなりませんし、一方でどうしてもこの時代のものを超えるバイオリンが作れないということもあり、今でも大切に扱われながら演奏会で私たちの耳を楽しませてくれます。
御無礼の段は平に御容赦下さい。
ありがとうございました。
玄さん、その節は大変お世話になりました。刀剣の価値感は、刀剣商・鑑定家・職人・武道家によって大きく異なります。特に、刀剣商の価値感は、市場性に裏打ちされた物であると思います。鑑定家といっても、鑑定手法や見地は人それぞれです。そういう意味では、実際に修復を担当した職人の認識というのも職人によって違うものですが、基本的に鉄の時代感覚は共通する認識を持っています。最終的には、自分自身の鑑定眼を磨く以外に根本的な解決は無いのではないか?と思ってしまいます。またぜひ遊びにいらしてください。まだまだ話し足りないことやお伺いしたいこと(特に武道のこと)がたくさんあります(笑)。
F6Fさん、ご想像は大変よくわかります。問題は、楽器と刀剣は違うということです。刀剣(特に刀身)の修復は、研磨以外にはありません。修復を施せば施すほど、刀身はすり減ってしまいます。一度すり減った鉄は元には戻せませんので、修復=破壊行為にもつながっています。
一方、楽器は修復が可能です。特にバイオリンは、音を出す道具ですので、用途が武器とは根本的に違います。
私も、高校生までの約10年間バイオリンを習っておりましたので、バイオリンがどのようなものかは少しは判っているつもりです。中学生頃から使っていたバイオリンは、成人向けのサイズのバイオリンでしたが、一度修復に出した際に以前の音色が出ずにバイオリンに合わせるのに苦心した経験がございます。
また、どうしても修復が出来ないグァルネリやアマティなどは、美術館などに保管されている例もございます。
ちなみに、ストラディの再現を目指す現代バイオリン作家(知人にもいます)による国際研究グループがあり、科学的な研究を進めていて、ある程度の再現に成功している事実も注目に値します。
日本刀では、古刀の再現が今だ道半ばというのが現状です。昨今、やっと自在な写りの再現が可能になってきてきたそうですが、やはり古い刀に軍配が上がります。
以上、ご参照頂けましたら幸いです。
今後とも、徒然刀剣日記をよろしくお願いいたします。
そのうちまた寄らさせて戴きます。
元々の計画を何とか進め先日、別の刀身(無銘の末三原?)で当方の師匠に拵えをお願いした処です。
師匠作肥後写しの縁金具、目貫、鍔を譲って戴き肥後一作の予定です。
出来上がりましたら持参します。
F6Fさん
ありがとうございます。
遠慮せずどんどん観て、どんどん質問するのがこの道では早道ですね。
上にあるように、考えは十人十色で迷いやすい道ですが。