徒然刀剣日記

刀剣修復工房の作品・修復実績と刀剣文化活動のご紹介

柄前製作(その2、柄下地&角頭)

2011-11-28 00:12:25 | 拵工作
柄巻き師と総称される職人には、様々なタイプ?があります。
柄巻きのみを専門に行う職人、鮫皮の加工と柄巻きを行う職人、柄前全てを拵える職人…と、実に多種多様です。
どのタイプの職人が、良い悪いというものはありません。
ただ、どのような技術を継承したのか?だけの違いだと思います。
ちなみに、私は後者の柄前全てを拵える職人ですので、柄巻き拵師だとか拵師という通称を用いさせていただいております。

そんなわけで、今回は柄前全てを新規作成するご依頼です。早速、柄下地の荒削りが終わりました。
工作がやけに早いなあ?とお思いになられた方もいらっしゃるでしょうか?
実は、柄縁が決まらないうちから、少しづつ柄下地を作っておきました。
前回のアップロードが遅かったため、すぐに出来た様な印象がございますが、実際にはじっくり時間をかけて工作しています。

今日は、荒削り工程を終わらせた状態です。
柄頭の材料も、事前に大体の大きさに削りだしておいた物です。




昨今の現代拵を拝見すると、角頭が型で押したように同じ形状をしています。
規格化された角頭なのでしょうか?

拵には時代毎・地域毎によって、角頭の体配に違いがあるはずです。
これは私見ですが、ゴロンとした角頭は、田舎臭い印象を感じます。
私の場合には、角を削りだす工程から、ほどよく薄めに作る様に努めています。

次は、鮫皮の加工に移ります。

最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
角頭 (北の村から)
2011-11-29 22:33:13
こんばんは!

角頭、いいですね。
我が家にも角頭の打刀拵がありますが、
角頭は、普通「登城用」というのは江戸時代一般の掟なんでしょうか?

自分、江戸の文献はあまり見ていないもので、何ですが、
各藩ごとの取り決めなんかがありそうですね。

頭は一番目立つものだから、
無地の角にすべし、とか聞いたことがあります。

ちなみに、ウチの拵は、
コジリも角なんですが、ここに角の白い筋を残しています。
隠れたところのオシャレといったところでしょうか。
返信する
番指拵 (拵師)
2011-11-30 19:33:57
北の村から様、お世話になっております。

番差拵について、ご紹介します。

番差拵は、裃指または殿中指とも呼ばれる江戸時代の武士の儀式指です。
主な使用は、登城のとき、正月・節句・婚礼などの祭儀の時と、葬儀・法事などの不祭儀の時にのみ着用したそうです。

また、諸大名が将軍家から拝領するお刀の打刀拵、諸大名から将軍家へ献上するお刀の打刀拵も、同じ様式の拵と決められていました。
そのため、特に格式の高いものは献上拵とも呼ばれています。

刀身は、統計的に大が二尺三寸弱、小が一尺六~七寸前後のものが多いそうです。

大小とも柄前は白鮫で包み、柄縁は腰高の烏銅磨き地のもの、または七々子地のものを用います。
柄頭は、水牛の角で作り、黒漆を塗って光沢を出します。
目貫は主に、金無垢の竜や獅子の容彫り、または家紋を用います。
柄糸の色は黒を使い、角頭を掛け巻きにします。
柄巻きは、諸捻りが基本です。
菱の数にもルールがあって、大は13菱、小は9菱が基準的な巻き方で、諸捻り巻きを用いる理由は、山が大きく見えるため、体裁を整える目的があったといいます。
また、通常の柄巻きよりも菱の数が少なくなっているのは、菱の数を少なくすれば菱の窓が大きくなり、白い鮫皮がよく見えるからです。
当時は、鮫皮が非常に貴重で高価であったことから、1粒1粒植える?専門の職人がいたほどです。

ちなみに、返り角は上を向いていればいる程、位が高い人間の指料とされていいます。
また、将軍家への反骨精神の表れとも言われています。
豪商の指料などは、返り角が斜め下を向いているものもあります。

今で言うところの、礼服に該当する拵とお考えください。
返信する
なるほど! (北の村から)
2011-11-30 21:48:41
いやはや、非常に勉強になりました。

こういう話は、じっくり聞きたいものです。
有難うございます。

返り角にまでそのようなルールがあったとは。
注意して見るところがまた増えました。

いつか酒でも交わしながら、
じっくりやりたいですなぁ。
返信する
 (拵師)
2011-12-01 20:13:53
北の村から様、お世話になります。

江戸時代の日本人ほど、形式にこだわった人種はいないのではないでしょうか?
全ての所作・工作には、必ず理由があって、時代時代に普遍の不文律が存在したのだろうと想像すると、ワクワク?します。

関東へいらっしゃる時には、ぜひとも足をお運びください。刀剣を肴に一献傾けたいですね。とはいえ、お互いアルコールは程々にいたしましょう(笑)。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。