徒然刀剣日記

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鮫皮

2012-02-13 00:31:53 | 拵工作
鮫皮には、いろいろな種類があります。また、各種類ごとにも個々の違いがあります。
通常の?親鮫が一つの鮫皮では、サイズが大きければ大きいほど珍重されることは言うまでもありませんが、必ずしも大きいばかりが重要ではありません。
粒の配置や並び方なども重要な鑑賞ポイントなのです。



今回用いた鮫皮は、親鮫こそさほど大きなものではありませんが、粒が親鮫の周りを九曜紋のように取り囲んでおり、見れば見るほど美しいカタチをしています。
鮫皮の美しさは、自然の産物であり、まさに偶然が生み出した『天然の美』と言えます。

当該柄前では、実用を考えて鮫皮の補強を施す予定です。
鮫皮に黒漆を塗りこみ、強度を強めます。
これは、武道に使われるお刀ですので、実用を考えた工作です。

ちなみに、鮫皮は白が基本と思われがちですが、初期の打刀拵では、ほとんどの鮫皮を漆で固めています。
白い鮫皮にこだわるのは、江戸期に入り武士階級が戦いを知らなくなってからなのです。

過去の鮫皮関連記事
「鮫着せ」(2012年01月20日)
「制作中の拵え」(2010年12月25日)

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
かいらぎ (北の村から)
2012-02-15 12:24:25
そうなんです!
かいらぎの井戸茶碗に魅せられ、
我が家に唯一ある抹茶碗が、井戸茶碗なんです。
日本人独特の美意識でしょうか。

ただ、
いまどきの日本人には通用しないのかもしれませんね


出来上がりの画像、楽しみにしています。
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鮫皮 (拵師)
2012-02-15 09:41:53
北の村からさん、こんにちは!

おはようございます!
かいらぎなどは、井戸茶碗などにもみられ、
えど時代の人間も珍重したことが伺われますね。
りそう的な拵えには、時間を超越した感動があります。
なかごと唯一接する箇所である柄下地に、
さめ皮で補強と滑り止めを施して柄糸を巻く
いたってシンプルな発想の中に、日本人の美意識が凝縮している気がします。

刀剣というのは、柄前一つとっても非常に奥が深いですね。
改めて、総合芸術というか、伝統工芸の集大成であることを感じずにはいられませんね。
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おや?鮫 (北の村から)
2012-02-14 20:42:52
こんばんは!
たまに、おや?と思う鮫皮ありますよね。
本当に興味はつきません。

梅花鮫も、鞘に研ぎ出しとして使うと、あれは本当に見ごたえのあるものになりますね。
江戸期の人間も、夜空に浮かんだ星を想像したのではないでしょうか?

九曜並びの鮫皮も珍重されますね~。
柄前の大切な見所だけに、こだわらずにはいられませんね!
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