工房八重の部屋

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アスニー山科講座 「方丈記800年 その魅力をさぐる」

2012年07月09日 | Weblog
4日(水) <講演> 609回「『方丈記』800年-その魅力をさぐる」

講師は、京都産業大学 文化学部 教授 小林 一彦 氏

鴨長明は、平安後期・鎌倉初期の歌人,随筆家,文学者。下鴨社正禰宜惣官長継の次男。

惣官は下鴨神社の長で、領地を所有し、権威ある地位であった。

河合社の禰宜職にも、惜しくも就けなかったため,元久1(1204)年,50歳で遁世する

方丈記は1212年、58歳の時に完成! それから800年の歳月経ても、名作として

残っているのはなぜか? を、小林教授は、わかりやすく講義してくださいました。

「行く河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかは、

かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。

世の中にある人とすみかと、 また かくのごとし。」で始まる方丈記は短い随筆

なのですが、鴨長明が生きた時代は、平清盛から源実朝時代までの激動の時代で、

要職につけず、挫折の人生から、無常感に満ちた方丈記となっています。

『方丈記』は、人とすみかの無常を主題とし,仏教に照らして内省を深めたエッセーで,

●安元3(1177)年の大火,●治承4(1180)年の辻風と●福原遷都による混乱,

●養和1(1181)年からの飢饉,●文治1(1185)年の大地震と、8年間に続いた

五大災厄を描く部分は,見聞体験と実感にもとづく視覚的,迫真的な描写として

高く評価され、今でいう、レポータとしての優れた描写です。

現代の日本は、災害続きで、鴨長明が生きた時代の状況と同じ状態です。

小林教授の講義は、1時間半では語れつくせない内容で、

また機会あったら聞きたい講義でした。


7月の山科アスニー講座


講師は、京都産業大学 文化学部 教授 小林 一彦 氏