切り絵

浮世絵を切り絵に

広重 六十余州名所図会 伊勢 朝熊山

2014年03月04日 | Weblog

伊勢 朝熊山

  峠の茶屋伊勢国は、現在の三重県の西・南・東端を除く大部分を占め,三方山を連ね、一方は知多・渥美・志摩の三半島に囲まれた伊勢湾に臨む。伊勢には天照大神の鎮座する皇大神宮(内宮)と豊受大神の鎮座する豊受大神宮(外宮)があり、全国からの参詣人で娠わった。朝熊山の山嶺は南北に延び、伊勢・志摩両国の分水嶺をなしている。その山容は、北は神崎となって海に入り、南は高く聳えて海抜五五〇メートルの最高峰を形成して内宮の真東に位置し、東北は神路出に接している。内宮から五十町登った峠の茶屋からの眺望は雄大で、東は三河・遠江・駿河などをこえて富士山や甲斐の白根山がほのかに見え、北に美濃・尾張の山々、さらに加賀の白山も見えた。旅人、茶店の女などを細かに描いているが、みな絵のなかで呼吸をして生き生きと動いている。広重の、風景と人間の接点を情感をもって描かれた作品である。

 

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