「東都飛鳥山」 (東京都北区)
現在も桜の名所として知られる飛鳥山は、元享年間(1321~1324年)にこのあたりを治めていた豊島氏が熊野の阿須賀明神を勧請したことに由来する広大な丘である。享保年間(1716~1736年)に、もとは将軍の御鷹場などであったが、八代将軍徳川吉宗が庶民の行楽地にすべく桜を植樹させ、一般に開放した。眺望に優れ、市中からの程良い距離も好まれて、四季を通じて遊山する人々が多く訪れるようになった。山の西側を廻る日光御成街道は、北側を流れる石神井川の飛鳥橋を渡って北へと伸びていて、その橋の付近には料理屋や茶屋が軒を連ねていた。本図は街道沿いにひしめく料理屋越しに富士山を捉えた光景である。