玉川秋月 「玉川鮎汲の図」
明月の澄む秋夜の玉川で、河中に鮎漁をする人々の風情ある姿を描く。川幅を画面中央部に広く取ってくの字形に曲げ、川上の部分をすやり霞でおおって、その切れる上部に玲瓏と映える富士山と満月を配し、要領よく遠近感を描出している。河中の舟の漁夫が投げ入れた網が水中で開いた部分を薄墨で描出した手際は、この絵師の造型感覚の優秀さを物語る。そして、突出した河原の民家の前で臼に入れた白布を杵でつく女性を点景風に添え、情と景の過不足ない調和をみる。
玉川秋月 「玉川鮎汲の図」
明月の澄む秋夜の玉川で、河中に鮎漁をする人々の風情ある姿を描く。川幅を画面中央部に広く取ってくの字形に曲げ、川上の部分をすやり霞でおおって、その切れる上部に玲瓏と映える富士山と満月を配し、要領よく遠近感を描出している。河中の舟の漁夫が投げ入れた網が水中で開いた部分を薄墨で描出した手際は、この絵師の造型感覚の優秀さを物語る。そして、突出した河原の民家の前で臼に入れた白布を杵でつく女性を点景風に添え、情と景の過不足ない調和をみる。
千絵の海 「蚊針流」
蚊針というのは、羽毛などを用いて蚊や虫の形に作った針で、おもに鮎・岩魚・鮠など、川魚を釣るのに使用するものであるという。表題には「蚊対流」とあるので、おそらく浮きをつけないで、流れにまかせて魚を釣る方法と思われる。この画題のみからでは、描かれた場所を推定することは困難であるが、川岸には数人の釣人がいるところを見ると、俗にいう穴場なのであろう。変化にとぼしいうらみはあるが、釣人おのおのの姿態には変化がある図ではある。