切り絵

浮世絵を切り絵に

広重 六十余州名所図会 対馬海岸夕晴

2016年06月24日 | Weblog

「対馬海岸夕晴」

 対馬は南北82km、東西18kmと細長く、中央にある浅茅湾が北部を上島、南舶下島に分けている。対馬海流に洗われた海岸線は山が迫り、リアス式海岸が明媚な景観を造り出している。九州の最北端にあり、対馬海峡東水道を挟んで福岡からは138kmの距離。対岸の韓国までは50kmと最も近く、晴れた日には目視できるほどの位置にあることから、古来より朝鮮半島、大陸との交流に重要な役割を果たしてきた。豊臣秀吉の朝鮮出兵によって一時国交が途絶えたが、再開させた対馬藩主宗氏は、幕末より朝鮮との交易を委ねられ、独占的に利を得ていた。対馬は入り江が多く、どこを描いたか特定は難しい。それ故、「海岸夕晴」という題になったものか。雨上がりの晴れ渡った空に虹が彩りを添える爽やかな風景となった。遠くに見えるのが朝鮮半島だといわれる。

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広重 名所江戸百景 小奈木川五本松

2016年06月16日 | Weblog

「小奈木川五本松」

小奈木川の中ほど、小名木川橋の北詰あたりに、名木「五本松」があった。古松が五本並んでいたことからの通称で、月見の名所として有名で地名ともなった。しかし享保17年の資料によると、一本だけ残してほかは枯れてしまったと云われ、此の図にも一本しか描かれていないが、複雑に曲がった枝ぶりが見事である。小名木川は隅田川と中川を結ぶ川で、手前の乗合船は深川と行徳の問を行き来した。船上にはさまざまな客の姿が見え、川の水で手ぬぐいを湿らす姿など、生活感があふれていておもしろい。ちなみに江戸から行徳へは約22キロあり、船で半日かかったという。現在は、近隣に架けられた橋のたもとに、江戸時代を懐かしみ、新たな五本松が植えられている。

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広重 名所江戸百景 佃島住吉の祭り

2016年06月05日 | Weblog

「佃島住吉の祭り」

佃島の起源は、徳川家康の命で摂津国佃村の漁師が移住したことにあり、そこに漁師が信仰した住吉神社が建立された。隅田川の入り江に位置する佃島は、漁場としても恵まれていた。なかでも白魚漁が有名で、将軍家にも献上していた。夏の祭礼である住吉神社の祭りを描いたもので、神輿を担いで練り歩き、また各所に「住吉大明神」の幟を立てた。画面中央に,はためく幟には「住吉大明神 安政四年丁巳六月吉日 佃島氏子中」の文字が配されている。

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